いじめられ自殺した女子生徒を「薬物依存では?」 教育長がトンデモ発言で辞任
「校長、教頭らは辞任し、人事の一新を」と訴える署名活動もスタートしている。
児童・生徒がいじめを苦に自殺した場合、校長や教頭、そして教育委員会はその対応に追われる。彼らは遺族の悲しみに心を寄り添わせ、情報と真実を正しく説明するべきだろう。
ところがこのたびアメリカで、驚きの発言を放った教育長が辞任に追い込まれた。『nj.com』『NEW YORK POST』などが報じている。
■高校1年生が自殺
アメリカ・ニュージャージー州オーシャン郡で3日、セントラル・リージョナル・ハイスクールに通うエイドリアナ・クーチさん(14)が自殺によって死亡した。
その2日前、学校の廊下でエイドリアナさんはいじめっ子グループに囲まれ、髪をつかんで引っ張り回され、殴る蹴るの暴力を受けた。だが現場にいた生徒たちは助けもせず、動画を撮影してSNSで公開。それにエイドリアナさんは絶望したと考えられている。
■校内ではいじめが蔓延
警察は4人の少女を第三級暴行などの容疑で逮捕したが、セントラル・リージョナル高校では事件の後、在校生や保護者が学校側の対応不足を徹底的に批判していた。
「もっと早く警察を呼ぶべきだった」「ある生徒がいじめっ子グループに襲われて大怪我を負ったときも、学校の対応は不誠実だった」などと指摘。この学校では長年にわたり、いじめが蔓延していたのだ。
■「薬物依存では…」
自殺の8日後、セントラル・リージョナル学区のトリアンタフィロズ・パーラパニデス教育長は「彼女は小学6年生のとき父親が浮気し、中学1、2年で学力が低下。麻薬を吸ったこともあるようだ。依存症になって錯乱を起こしたのでは?」と発言した。
これに父親のマイケル・クッチさんは激怒し、「娘が友達とこっそり麻薬を吸ってみたことは知っている。だが依存症になどなっていない」と断言。教育委員会で緊急会議が開かれ、教育長の辞任が決定したという。
■嘆願書に1万名が署名
マイケルさんや姉のジェニファーさんは『ニューヨーク・ポスト』の取材に応じ、「教育長が学区の生徒を麻薬中毒者扱いし、家庭の事情にまで踏み込むなんて。彼は教育者としてあまりにも不適格です」とし、学校は説明責任を果たすべきだと話す。
また、在校生や保護者も「校長、教頭らは辞任し、職員人事の刷新を」と訴える活動をスタートさせた。嘆願書にはすでに1万人以上が署名したという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)