期限を56年過ぎて図書館の本を返却した女性 「延滞料が廃止されたと聞いて」
本を借りた当時14歳だった少女は、返却時には70歳になっていた。
イギリスの多くの図書館では、返却期限を過ぎた本を無断で所持していると延滞料金が課される。この制度を廃止したある図書館で、56年前に貸し出された本が返ってきたという。『NEW YORK POST』や『BBC NEWS』などの海外メディアが報じた。
■56年前に借りた本を返却
レスリー・ハリソンさんは、1966年にイギリスのウィットリーベイ図書館でドイツ語の教科書を借りた。その後、結婚で街を離れることになったが、本を返却せずに引っ越し先に持って行ってしまったという。
そして借りた時から56年近くたった今年、レスリーさんはついにその本を返却することにした。ウィットリーベイ図書館で、延滞した図書の本への罰金制度が廃止されたからだ。
■経済的な障壁を除く狙い
自分が図書館の本を延滞していることに気がついていたレスリーさんだったが、週ごとに課される罰金が膨大な額に膨れ上がっていることを予想して、返却できずにいた。
罰金制度の廃止は、「経済的な壁を取り除いて、より多くの人に図書館を利用してもらう」ことを期待してのことだという。
■以前なら30万円の罰金
現在70歳のレスリーさんは、本を借りた当時は14歳だった。ドイツ語の勉強を熱心にしていたそうだが、現在では「あまりドイツ語を覚えていない」そうだ。
レスリーさんが返却した本は、ウィットリーベイ図書館の設立以来、最も長く借りられていた本となった。図書館の担当員は、「面白半分に56年遅れの本にかかる延滞料をざっと計算してみたところ、2,000ポンド(30万円)以上にもなった」とコメントしている。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)