「混ぜるだけフォンダンショコラ」は危険な食べ物? パティシエに聞いた結果
混ぜるだけのフォンダンショコラレシピは危険? プロのパティシエの見解は。
今年ももうすぐバレンタインデー。高級なチョコレートを買って自分へのご褒美にしたり、好きな人にあげたりみんなでシェアしたりと、日本中がチョコレートに染まるシーズンがやってくる。
手作りのチョコレート菓子を楽しむ人も多いと思うが、この時期にいつも話題になるのが「混ぜるだけフォンダンショコラのレシピは危険」という説。
■プロのパティシエに聞いてみた
確かに材料である小麦粉を生で食べたらお腹を壊すし、細菌が繁殖しやすい卵を使うため、外側は焼くとはいえ中心がトロッとしたフォンダンショコラが危険という説も理解できなくはない。
しかし、本当に材料を混ぜてオーブンで焼くタイプのフォンダンショコラのレシピは危険なのだろうか? 真相を探るべく、新宿の人気夜パフェ店「ロイトシロ」のパティシエで、フランスでも修行経験のある和志(かずし)さんに話を聞くと、以下の回答を得ることができた。
■和志さんのコメント
もともとフォンダンショコラは粉を極力少なくした生地を外側だけ焼く食べ物なので、殺菌を目的とした加熱方法だと中までカチカチになってしまいます。 主な材料はチョコレート、卵、砂糖、小麦粉。この中で生食が危険なのは小麦粉くらいですね。生の小麦粉は消化されませんし、菌の心配もあります。
日本の卵は生でも食べられる新鮮なものなので、焼きたてをすぐ食べるぶんには何も問題ないと思いますし、先程申し上げた通り殺菌を目的とした加熱ではカチカチになってしまいますので、小麦粉をココアパウダーに置き換えるレシピや、小麦粉を入れないレシピもよく見ます。これなら中が半生でも全ての材料が食べられます。
なお、最近主流のガナッシュを中に入れて焼くやり方は後から出来たものです。 卵・小麦粉の生食を防ぎながらも冷蔵保存が可能で、再加熱により中のチョコが溶ける仕組みで衛生面・効率面共に優秀です。また、ゆるい生地を表面だけ薄く焼く仕上がりのフォンダンは型を外す際などに失敗することが多いのですが、ガナッシュなら生地の部分は割としっかり焼けるので表面の生地が破けにくいのも特徴。初心者が作るならこちらがお勧めです。 あとは個人の食感のこだわりによりますね。 サラサラのものはガナッシュ式では作れません。
■ネット上にあるレシピの中に危険なものがある
和志さんいわく、元々フォンダンショコラは「混ぜるだけ」のタイプが発祥で、ガナッシュを入れてそれをとろけさせるレシピは後からできたそうだ。それならば「混ぜるだけフォンダンショコラのレシピは危険説」は、その方式が悪いのではなく、ネット上に無数にあるレシピの中に危険なものが含まれているというのが正しいのかもしれない。
いくつかレシピを和志さんに見てもらったのだが、小麦粉が多すぎるものや、焼成してから常温で粗熱を取るものは細菌が繁殖しやすいため危険だという。では、どのレシピなら間違いないのか? それについてはネット上に掲載されているレシピをたくさん作ったことがある、元パティシエの主婦に聞いてみた。
■間違いないレシピを探すには
彼女いわく、「素人が投稿するレシピサイト」のものは当たりはずれが多いので、クオリティの高い仕上がりを求めるのであれば富澤商店や森永乳業など、「製菓材料」を取り扱っているメーカーのレシピや、鎧塚俊彦氏や金子美明(よしあき)氏など、実際にパティスリーを経営している人気シェフの物なら間違いないそうだ。
パティシエに聞いた結果としては、「混ぜるだけフォンダンショコラのレシピは危険説」は間違いで、「素人が考えた混ぜるだけフォンダンショコラのレシピは危険な場合がある」が正しいことが判明した。菓子は料理のレシピと異なりわずかな分量の違いが仕上がりに大きな差を作りやすい。レシピ探しから間違いないものを選びたいものである。
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(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男)