『いいとも』への夢を拓くフジ『ぽかぽか』を考察 『ラヴィット』との違いは…

ゴリエと「ゴリパラ見聞録」を見出す昼の帯番組『ぽかぽか』。『いいとも!』の後に続く台頭となるか考察する。

■「いいとも」リスペクト

『ぽかぽか』の特徴は、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)を非常に意識したデザインにある。まず、お台場フジテレビ本社ビル7階の特設会場に観覧客を入れ、スタジオにして『いいとも!』のような収録環境にしている。

またレギュラー人数も少ない。そして、番組の最初はゲストを招いてのトークコーナー。また、一般参加者の募集コーナーもある。

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■吉本芸人の不在

『ぽかぽか』のもう1つの特徴は、吉本興業の芸人があまりにも出てこないこと。基本的には、MCのハライチが所属する渡辺プロダクションの影響が大きいように思われる。

『いいとも!』もタモリがMCということもあり、近年よく見る吉本興業的な「チームプレイの笑い」の影響とは無縁の番組だった。

今田耕司や東野幸治は、「大阪の吉本芸人は、内村光良の番組で大阪の笑いをろ過すべし」と言う。元来、ろ過装置の役割を担っていた番組は『いいとも!』だった。結果的に現状の『ぽかぽか』は、『いいとも!』の要素を大いに持っているのだ。


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■唯一の吉本芸人ゴリエ

『ぽかぽか』では、唯一レギュラーとなっている吉本芸人がいる。ガレッジセールのゴリが演じるゴリエだ。しかしゴリエがレギュラーでも、ゴリの吉本芸人感はほとんどない。

ただし、ロケ技術は、ゴリエというキャラに扮している強みもあってか、ロケ自慢の若手・中堅芸人も及ばないだろうほどに優れている。


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■埋め企画に意外な掘り出し物

『ぽかぽか』は4月から2時間になると発表されており、現在1時間が余っているかのように、地方ローカル番組鑑賞コーナー『日本中に知って欲しい!FNSおすすめジモTV』を配置。

まるで消化試合のようなコーナーにも、当たり週があった。ナベプロ九州事業本部のゴリけんとパラシュート部隊による『ゴリパラ見聞録』(テレビ西日本)だ。


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■『ゴリパラ見聞録』の魅力

一見、面白くなさそうな『ゴリパラ見聞録』もよく観ると、パラシュート部隊・斉藤優の毒舌混じりのトーク術、シビアなダメ出しを受けがちだが愛される先輩であるゴリけんと、3人の息の合ったトークが面白い。

フジテレビ戸渡二部制作室部長が、「人生ドキュメントバラエティ」として『ゴリパラ見聞録』を高く評価したシーンも放映。

東京に残れなかった芸人が、やさぐれながらも『ゴリパラ見聞録』で人気になっていく逆転劇にドラマを感じることができるのだ。


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■ナベプロ vs 吉本興業

時間帯設定を無視した成功を掴んだのが『ラヴィット!』(TBS系)だ。『ラヴィット!』は「吉本興業を中心とする芸人による早朝からのお笑いバラエティ」という、かなりの暴挙番組。

しかしながら、若者支持によって『ラヴィット』はなんとか保っている。もしも『ぽかぽか』が『ラヴィット!』のように成功すれば、『ラヴィット!』こそ第2の『いいとも!』の座を奪おうと、吉本興業は『ラヴィット!』をお昼の時間に移すだろうか。


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■「いいとも!」の遠き夢への第1歩

しかし、『ぽかぽか』が若者支持を目指すならば、『ラヴィット』のように吉本興業などの芸人がワイワイガヤガヤ盛り上げる方がわかりやすいには違いない。『ぽかぽか』も『ラヴィット!』も、現時点では『いいとも!』には程遠いだろう。

だが、数年後の『ラヴィット!』やフジのお昼の枠など、『いいとも!』的番組復活の夢への道を、わずかでも『ぽかぽか』が切り拓こうとしているのかもしれない。

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(文/メディア評論家・宮室 信洋

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