少子化が止まらない日本と中国 参考にすべきは「フランスの成功例」だ
【舛添要一『国際政治の表と裏』】フランスに学ぶ「異次元の」少子化対策、ここまで発想を転換すれば出生率は上がる。
■子育て、とくに教育におカネがかかりすぎる
日本、中国、韓国、台湾などで少子化が進むのは、子育て、とくに教育におカネがかかるからである。日本では、幼稚園から高校まですべて私立にすると、1,700万円、全部公立でも500万円かかる。これに大学の学費まで加えれば、私立なら2,000万円は超えてしまう。さらに、塾や予備校の経費まで加えれば、大変な金額になる。
中国や韓国ではそれ以上で、子ども一人の教育費を捻出するのに精一杯なのである。フランスは大学まで教育は無償であり、この点もフランスは参考になる。
■子だくさんの家庭に「優先権」を与えよ!
フランスでは、子だくさんの家庭を社会的に優遇することが考えられてきた。
たとえばディズニーランドに入場するとき、スキー場でリフト待ちをするとき、バスに乗るときに、長蛇の列を回避して、優先的に入る特権を与えるのである。たとえば5人以上の子どもがいる家庭に「子だくさんの家庭」という証明書を政府が付与し、それを提示すると、行列待ちをしないで済むことにするのである。
バス会社、イベント会場などが、それぞれの判断で子だくさんの家庭に対する優遇措置を検討すればよい。これは、税金を1円も使わないでできる少子化対策である。「異次元」とは、そういうことである。
■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「フランスの少子化対策」をテーマにお届けしました。
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(文・舛添要一)