このパーキング、駐車券もロック板もないが… 「神的発想」ネットで絶賛する声続出
最近、商業施設で見かける「チケットレス駐車場」。設置されるまでに意外な裏側があって…。
駐車場と聞いて何をイメージするだろうか? 出入り口で駐車券をもらい、ゲートを通って入庫する、あるいはロック板に車を停める──。
おそらく多くの人が、こうした光景を思い浮かべるはず。だがここ数年、駐車券が不要で、ゲートやロック板もない新しい形のパーキングが増えていて…。
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■「チケットレス駐車場」の仕組み
最近、全国のショッピングモールなどの商業施設で駐車券不要、出入庫のゲートがないという「チケットレス駐車場」が増えている。この画期的システムの仕組みは、利用者が駐車場に入った時に車の前面が撮影され、ナンバーを機械のシステムが読み取るところから始まる。
帰る時は、利用者が車に乗る前に精算機で自分の車のナンバーを入力し、撮影された写真を確認して駐車料金を精算する。出口でも車のナンバーが撮影されて、車が出たことが確認されるのだ。
■ネット上で絶賛の声
ネット上では、「雨の日はチケット取るのに濡れるのが嫌だから助かる」「発想が神すぎる。この方式もっと増えてほしい」「自転車でもこのシステム起用してくれたら嬉しいな」「こんな便利なものができる時代になったんだな」など、新しい形の駐車場を歓迎する声があがっている。
件のパーキングはいかにしてできたのだろうか。”チケットレス駐車場”の正式名称はスマートパーク。この駐車場を自社開発して提供するピットデザイン株式会社に取材したところ、意外な裏側が明らかになったのだ…。
■以前は一般的なシステムだった
現在、同社では時間貸し駐車場はほとんどなく、施設・店舗の来場者向けの駐車場運営を専門にしている。ただ、以前は一般的なゲート機やロック板のある駐車場管理システムを設置していたそうだ。なぜ、新しいシステムを開発したのだろうか。
「スーパーなど短時間利用の店舗では、ゲート機やロック板のある駐車場を敬遠するお客様が多く、店舗売上が下がってしまいました。しかし、駐車場機器を設置しないと無断駐車を防止できない、というジレンマに悩んでいました。また、駐車券はお客様にとっては管理が面倒で、施設を利用したにも関わらず、駐車券を紛失して高額な料金を請求されたなど施設へのクレームになったり、施設側にとっても駐車券のコスト負担が大きく、どうにかして駐車券をなくせないかというニーズがありました」(ピットデザイン株式会社)。
駐車券を財布にしまったはずなのに見つからず、精算時に青くなった経験をした人も少なくないはず。こうしたストレスからも解放されるのだ。
■利用者の反応も上々
実際に利用した人からの反応について尋ねると、「『運転しながら発券機や精算機に幅寄せしなくていいので、入出庫時に駐車場機器にぶつけてしまうのではないかと考えなくなり、気軽に来れるようになった』『駐車券の所在や紛失を気にせず、ナンバーさえ覚えておけばいいのでスムーズに精算できるようになった』といった声があがっています。また、施設様からも『 出入口に設置したカメラ画像をもとに万引き犯を実際に取り押さえたという実績もあり、全体の盗難点数も2割以上減少した』、『精算補助、渋滞時の誘導などのために警備員を配置していたが、配置する必要がなくなり、コスト削減につながった』などの声をいただいています」(前出・ピットデザイン株式会社)とのことだった。
”新形態”の駐車場は着実に拡大しているようで…。「チケットレスのカメラ式ゲートレス駐車場システムは当社で把握している範囲では全国で400箇所程度あるようです。そのうち当社の『スマートパーク』は360箇所程度になっています。当社分のみで車室数10万台以上、ドライバーの3人に1人以上が『スマートパーク』を使ったことがあるというところまで普及が進んでいます」(前出・ピットデザイン株式会社)。
いつかスーパーで買物する際に使う駐車場は「チケットレス」が当たり前になるかもしれない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)