インフルエンザ、新型コロナに猩紅熱… 患者急増でマスク生活に戻るイギリス
救急車3,000台以上が、病院に到着するも患者の引き渡しに1時間以上待たされた日も…。
かなり前より「やっとマスクから解放された」「すでにコロナ前の日常に戻っている」と喜んでいたイギリスの人たち。だが真冬の現在、インフルエンザ、猩紅熱、そして新型コロナウイルスにり患する人が急増し、マスクを着用する人たちが再び増えているとのこと。
また振り出しに戻りつつあることを、『Mail Online』『The Sun』などが報じている。
■猩紅熱で小児100人ほどが死亡
インフルエンザと新型コロナウイルスは、高熱や激しい咳などを特徴とし、呼吸器症状などが重症化したら入院は避けられない。
そして小児期に多い猩紅熱(溶連菌感染症/A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)は、幼稚園、保育園、小学校で集団発生することが多く、中耳炎、腎炎、リウマチ熱など重い合併症にも注意が必要だ。
そんななか、イギリス健康安全保障局(UKHSA)は「2022年9月12日から12月18日までに2万7,486人の小児が猩紅熱に感染し、94人が死亡。治療薬のペニシリンも不足している」と昨年暮れに発表していた。
■救急車~患者の引き渡しに遅延
そして救急医療体制を担うイギリスの専門的組織である『Royal College of Emergency Medicine』が、「この状況下、毎週300~500人が緊急搬送、患者引き渡し、治療の遅れにより亡くなっていると考えられる」と発表した。
たとえば、12月19日には救急車3,000台以上が「病院に到着するも患者の引き渡しに1時間以上待たされた」と報告。過酷な勤務状況が続いていることから、看護師や救急隊員が賃金を巡るストライキを行うことも状況を悪くしているという。
■小児のインフル・ワクチン接種率が…
また、イギリスでは今週末までにすべての幼児・学童が正月休みを終え、保育園、幼稚園、小学校に戻る。しかし英国保健安全保障局は、インフルエンザ・ワクチンの接種率が高齢者においては十分だが、11月までに接種を済ませた小学生は48パーセントだと指摘する。
「今後の感染拡大を最小限に抑えるため、インフルエンザ・ワクチン接種の徹底を。体調不良を訴える子、38℃以上の熱がある子は登園・登校させないで」と強く呼びかけている。
■コロナ感染者数のピーク時より悪化か
そして国民保健サービス(NHS)は、現在の医療体制や病床使用率などに関して「今後数週間のうちに、新型コロナ感染者の数がピークだった時期より悪い状況に陥る可能性がある」と発表した。
「お子さんたちに頻回な手洗いをするよう、そして咳やくしゃみはティッシュで受け、ただちにそれを廃棄するように指導してほしい」「感染したら緊急でない限り自宅で療養し、基礎疾患がある人や高齢者など弱者に近づかないよう配慮してほしい」と呼び掛けている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)