天草四郎が考案した伝説の郷土料理 島原の『具雑煮』がしみじみウマい
歴史は江戸時代初期・島原の乱にさかのぼるという郷土料理。鍋焼きうどんのような美味しさだ。
■歴史ロマンあふれる郷土料理
島原といえば、雲仙普賢岳や江戸時代初期に起きたキリシタンによる反乱、「島原の乱」が有名。郷土料理の具雑煮は、島原の乱の指導者・天草四郎時貞が考案したとされる、歴史ロマンあふれる料理なのだ。
当時の藩主だった松倉重政・勝家親子による苛烈な圧政とキリシタン弾圧に対して、1637年に起きた一揆が島原の乱。一揆軍の総大将・天草四郎は、キリシタンや農民たちに兵糧としてお餅を貯えさえ、さまざまな食材と煮込んで雑煮をつくって栄養を摂ったという。
それを元に江戸時代後期の文化10年(1813年)、糀屋善衛エ門が生み出したのが現在の具雑煮。元祖とされるのは、島原城に程近い姫松屋だ。
■鍋焼きうどんのような重層的なうま味
1人前ずつ小さな土鍋で供される具雑煮。澄んだ琥珀色のあご出汁の中に、鶏肉や焼き穴子、卵焼き、かまぼこ、春菊など、山海の素材が入っている。具の上には柔らかい丸餅が。
暖かい季節に雑煮を食べるのは初体験だったが、この複雑な味わい、優しい美味しさ…そういえば鍋焼きうどんによく似ている。うどんがお餅になって、よりもちもちした食感になったような。これはウマいはずだ。
■独特な団子スイーツ「かんざらし」も
歴史が今も息づく島原の食文化。お米を活かした郷土料理では「かんざらし」というスイーツも。白玉粉でつくった団子をほんのり甘いシロップにひたして食べるもの。具雑煮のシメにさっぱりと美味しいので、ぜひ試してみてほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)