今年の『M−1』が画期的である理由 ウエストランドと山田邦子による変革
跳ね切らない今年の『M−1』を活気づけたのは、ウエストランド、ヨネダ2000、山田邦子だった。
18日、ウエストランドが優勝した『M−1グランプリ2022』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。まるでウエストランドのために全てが演出されたかのような、今回のM−1を考察する。
■ウエストランドの優勝を求めた「M-1」
「M−1」でウエストランドが優勝した。キュウの審査の時に「順番」の問題と口々に言われたように、キュウに限らず、今回はネタ順が非常に意味を持った「M−1」となったという意見が散見される。
実際のところあらゆる条件がウエストランドの優勝を導き、また新しい 「M−1」を求めるかのような流れであった。今回の「M−1」を振り返っていこう。
■山田邦子の素直な審査
今回のもう1人の主役は何と言っても、初審査員の山田邦子である。漫才師とは言い難いレジェンド女芸人・山田邦子が、審査員を勇退した上沼恵美子やオール巨人に代わり審査員を務めることが注目された。
伝統的な「M−1」を、漫才の伝統の系譜にない山田が壊してしまわないかと心配されたわけだが、結果的にいい意味で壊してくれたようだ。
点差をあまりつけない審査の伝統を、山田邦子は見事に壊してくれた。審査のバランス感覚も悪くなく、視聴者が潜在的に求めていた自由な審査のあり方を山田は体現し、評価を集める。
■爆発的な笑いを巻き起こしたヨネダ2000
今回の「M−1」では、秀逸な漫才はあっても爆発力のある漫才はなかなかやってこなかった。終盤に登場したのがヨネダ2000。
「M−1」では、ヨネダ2000は漫才の堅い形式を逆手に取ったようなハチャメチャな笑いながらも、また同時に、できるだけボケの型を明確にして必要以上に客を戸惑わせることのないネタをみせる。
ただし、漫才としては勝ち抜けるものではないという評価にとどまったのだろう。点数とは裏腹に、審査員や客の反応は大絶賛であった。来年のヨネダ2000のブレイクは確実だろう。