駆けつけた事故現場で娘を失った救急隊員 「臓器提供で人の命を救ったわが子が誇り」
さまざまな現場に向かう救急隊員だが、自分の家族や友人だと知る時ほどつらいことはないだろう。
事故や事件現場にすぐさま駆けつけ、悲惨な光景を目の当たりにしながらも冷静に対処する救急隊員たち。そんな隊員の1人が経験した悲痛な事故の話題を、イギリスの『Daily Mail』やアメリカの『NEW YORK POST』が報じている。
■路面凍結で対向車線へ
カナダのアルバータ州・カルガリー市で11月15日、1件の自動車事故が発生した。現場は市内北部を通るアルバータ・ハイウェイで、路面の凍結により女性2名の乗る車が突如制御不能になったという。
その後、猛スピードで対向車線を走ってきたトラックに激突し、大変悲惨な事故だった。
■致命傷を負い意識不明に
運転手の女性は意識があったものの、もう1人は致命傷を負い、救急隊員の呼びかけにも無反応だった。
隊員たちは救急処置を行い、ドクターヘリの出動を要請。わずかな可能性を信じ、隊員のジェイミー・エリクソンさんは女性を励ましながら、ヘリの到着まで寄り添っていたという。
そして勤務を終えたジェイミーさんは自宅へ帰宅したが、その5分後に警察官が自宅を訪ねてきた。
■警察官から告げられた娘の死
警察官から「本日起こった自動車事故で、残念ながらあなたの娘のモンタナさんが亡くなりました」と告げられたジェイミーさん。致命傷を負っていた女性は顔面の損傷も激しく、自分の17歳の娘と気付けないほどだったのだ。
悲しみに暮れるジェイミーさんだったが、事故から3日後の18日にFacebookを更新。「救急隊員にとって悪夢の日でした。救助したいと思いながらも助けられなかった命は、私の愛する娘だったのです」と当時の状況を明らかにした。
■臓器提供で他人の命を救う
さらにジェイミーさんは、モンタナさんに宛てて「あなたと過ごした17年間に感謝しています。それでも卒業式や結婚式を見ることができないなんて…。世界で一番、愛しているわ」と、母親としての深い悲しみを綴っている。
水泳が得意だったというモンタナさんは、臓器提供を希望していた。彼女の命と引き換えに、2人の命を救うことができたといい、「愛する娘が他の人の体の中で生き続ける。これはとても光栄なことです。人の命を救った娘を私は誇りに思います」とコメントしている。
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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)