脳の手術中にサックス演奏した男性患者 9時間にわたるオペで腫瘍切除
どうしても演奏能力を失いたくなかった患者のたっての希望で、ユニークな手術が実現した。
脳の腫瘍を除去するため病院で手術を受けた音楽愛好家の男性は、自分の頭にメスを入れられている最中もサックスを演奏していたという。『IBT』『CBS News』などの海外メディアが報じている。
■脳の手術中に楽器を演奏
この風変わりな手術は10日、イタリアのローマにあるパイデイア国際病院で行われた。35歳の男性は9時間に及ぶ手術中、完全に意識があっただけでなく、得意なサックスを演奏してたという。
脳神経外科医で覚醒下手術の専門家であるクリスチャン・ブローニャ博士はメディアに対して、腫瘍は首尾よく切除され、患者に悪影響は無かったと語っている。
■通常の手術よりも困難
腫瘍は脳の奥深くにできており、さらに患者の男性は左利きであった。これは脳の神経回路が通常よりも複雑であることを意味し、手術の難易度を高くしていた。
そこで手術には最先端の技術が用いられ、高度に専門化された10人の国際的なチームによって行われた。さらに、患者がサックスを吹いていたことにも意味があるのだという。
■演奏能力を残したい
脳の手術には、身体の特定の機能が失われるリスクもある。患者の男性は医療スタッフに対して、自身の音楽的な能力を維持することが彼にとって最も大切だと述べた。
そこで、彼が手術中もサックスを演奏することで、ブローニャ博士は患者の脳のさまざまな機能をマッピングすることができ、外科医にとっても非常に役に立ったという。
■よく話し合った上で…
覚醒下での脳手術を過去何百回も行ってきたブローニャ博士は、このような複雑な手術を成功させる鍵は、患者を良く知ることだと述べており、手術前の約10日間、患者と6、7回面会を行っている。
またブローニャ博士は、脳手術においてどの機能を維持することが重要であるかについて、患者の希望を尊重することが最も大切だと語っている。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)