豚骨ラーメンの元祖「なんでんかんでん」の今 スープが”進化”していた…
『マネーの虎』でも話題になった「なんでんかんでん」。久しぶりにお店に行ってみると…。
今や全国各地で食べられるようになった豚骨ラーメン。豚骨ラーメンを語る上で、本場・博多のラーメンを東京に根付かせラーメンブームを担った「なんでんかんでん」を忘れてはならない。
一度は全店閉店にまで追い込まれたお店は今どうなっているのだろうか…。
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■ドラマのような歴史
「なんでんかんでん」は1987年に東京都世田谷区の環状7号線沿いにオープン。本場博多の豚骨ラーメンを出すお店として一躍人気になった。
創業者で株式会社なんでんかんでんの社長・川原ひろしさんの個性的なキャクターもあり、テレビでも度々紹介された。2001年に放送された人気バラエティ番組『¥マネーの虎』(日本テレビ系)でカリスマ社長として出演していたのが印象に残っている人も多いだろう。
豚骨ラーメンの元祖として絶大な人気を誇ったが、12年に環七沿いの本店が閉店し、15年までに全店舗閉店となった。その後、18年に東京・高円寺に再オープンし、20年1月から渋谷に移転するもコロナの影響で同年6月に閉店してしまった。
ショックを受けたファンも多かったが、昨年12月から西新宿店をオープンし現在も営業を続けている。
■久しぶりにお店に行くと…
2度の復活を果たしたドラマのような歴史がある「なんでんかんでん」。昨今、原材料価格高騰によって飲食業界が厳しい状況に置かれていることはご存知の通り。
あの元祖豚骨ラーメン店は今どうなっているのだろうか。8月下旬のお昼すぎ、新宿にあるお店に足を運んだ。お店はカウンター席に加えて、外のテーブル席もある。
記者が最後にお店に行ったのは10年以上前だったが、お店の外観や雰囲気は以前と変わっていない。お店の前には、川原さんの写真がでかでかと置かれているのも相変わらずだ。
メニュー表には、ラーメン(820円)・玉子ラーメン(920円)・キムチラーメン(1,020円)などが並んでいる。迷った末、玉子ラーメンと15時まで無料のライス(小)をチョイス。
ラーメンがくるまでに卓上にある高菜を乗せたご飯を食べる。食べた瞬間、舌がビリっとする激辛高菜も健在だ。
■スープを飲んで衝撃が…
待つこと数分でラーメンが運ばれてきた。海苔に文字が印刷された「プリントのり」が乗っていて懐かしさを感じる。
スープをすすって衝撃を受けた。すごくパンチが効いている。10年前に食べた時より濃厚でこってりした味だが、豚骨特有の臭みは少ない。
17年にバラエティ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演した川原さんは、かつて1日1,200人が来店していたピーク時にスープを最大4倍に薄めて出していたというまさかの「裏側」を暴露したことがあった。だが、今回久しぶりに飲んだスープはパワーアップしていた。
麺はやや固めに茹でられた細麺でスープともよく絡む。トロッとしたチャーシュー、半熟玉子、コリコリのきくらげというトッピングも絶品である。
■記者が感じた「進化」
夢中ですすっているとあっという間に麺がなくなった。ここで替え玉(150円)をオーダー。「なんでんかんでん」には、「替え玉一つは当たり前、二つは男前、三つで一人前」というキャッチコピーがある。
記者が頼むのも「当たり前」なのだ。今では都内の豚骨ラーメンチェーン店で「替え玉文化」は浸透しているが、それを広めたのもこのお店なのだろう。
そんな余韻に浸りながら完食。一度は全店閉店になったが、今でも営業を続けるお店は外観や雰囲気は当時の良さを残しつつも、ラーメンは格段に「進化」していた。
「なんでんかんでん」にはこれからも最高の一杯を提供し続けてほしい。
【なんでんかんでん西新宿店】
東京都新宿区西新宿7-9-15新宿ダイカンプラザビズネス清田ビル1階
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)