大阪、「ソースの二度漬け禁止」に”異変” 新たなルールが作られていた…
関西では一般的な串カツの「二度漬け禁止ルール」。コロナ禍で変化があったようで…。
大阪を代表するグルメの一つ、串カツ。揚げたての串カツをテーブルごとに設置されたソースに漬けて食べるのだが、その際ソースの二度漬けが禁止なのが特徴だ。
ただ、コロナ禍でそのルールに「異変」が起きていて…。
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■張り紙があるお店も
「二度漬け禁止ルール」は、大阪を中心とする西日本の串カツ店で広く浸透している。客は、客席に置かれたステンレス製の容器やトレイに入った共有のウスターソースに漬けて食す。その際、一度口につけた串カツをソースに再び漬けてはならないというものだ。
容器に「二度漬け禁止!」と書かれた張り紙を目にした人も多いだろう。ちなみに、追加でソースをつけたい時は多くのお店で突き出しとして出てくるキャベツでソースをすくい、串カツにかけるという「小技」がある。
■「二度漬け禁止」の起源
日本串カツ協会の代表理事・吉野誠さんは、「二度漬け禁止ルール」は昭和初期に誕生したと話す。「大阪南部にある下町・新世界という街で生まれたのが始まりです。当時、日雇い労働者が多く働いており、串カツ店はそうした人達が仕事終わりに安く早く食べられるようにする必要がありました。オペレーションを簡略化するために共有ソースが作られたんです」。
ソースを共有化することで、お店側は客ごとにソースや皿を用意する手間が省けるようになったというわけだ。
■コロナ禍で変化が…
古くから愛されてきた文化と言えるが、コロナ禍で少々変化があったようだ。「『串カツだるま』や『串カツ田中』など大手串カツ店は、2020年にコロナの感染が拡大してすぐ共有ソースを取りやめ、個別でかけるソースに変えています。一方、個人経営のお店や老舗のお店は今でも二度漬け禁止の共有ソースを使っているところが多いです。お客さんの間でもその食べ方が根付いていますからね 」(前出・吉野さん)。
コロナによって世の中のあらゆるものが一変したが、串カツ業界で長く根付いた文化にも少なからず影響を与えていた。
■コロナを機に「新ルール」
前出の吉野さんは、コロナで状況が変わったことも踏まえて21年4月に「K2K(串カツ2度漬け禁止)ルール」を設定した。ルールの一番目には「手洗いアルコール消毒除菌するべし」と今のご時世を踏まえたことが書かれている。また、「お塩、調味料などは取り皿の上で降るべし」「食べ終わった串は自分の串入れに入れるべし」など、細かいルールも並んでいる。
「新ルール」について聞いてみた。「(ルール化することは)昔から考えていましたが、コロナ禍で色々変わったのを機にアルコール消毒等を加えたルールを発表したんです。『塩をかけた後にソースを漬けるのはダメ』など、こだわりの強いお店の方が気にされていたルールも盛り込みました。これを通じて、初めての人やなんとくなく知っている人にも理解を深めていただき、共有ソースに対する見方が少しでも変わってくれたらと思っています」(前出・吉野さん)。
生まれ変わったルールのもと、「二度漬け禁止文化」はいつまでも残っていくはずだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)