動物実験施設に4000匹ものビーグル犬 保護団体が救出し里親探しへ
実験前の犬に不潔な餌を与え、寒さで凍死させ、授乳中の母犬に食べ物を与えないなどの虐待行為も。
アメリカでは、一般家庭から飼い犬が盗まれ、動物実験を行う施設に売り払われることが社会問題にもなった。現在は動物福祉法(Animal Welfare Act)で管理されているが、虐待や違法行為の撲滅には至っていない。
そんななか、このほどバージニア州のある研究施設から大量のビーグル犬が救出された。『USA TODAY』『Mirror』ほかが報じている。
■禁止国は増えているが…
哺乳動物による薬物実験は、医薬品、健康食品、農薬、麻薬、化学薬品などの開発において、人体への効果、副作用や毒性の確認を行うためとして行われてきた。ビーグル犬をはじめ、中型犬が犠牲になることは多いという。
近年は動物の命を尊重する観点からそれを禁止する国も増えているが、日本と同様、アメリカもいまだ動物実験が行われている国の一つだ。
■4,000匹を無事保護
そんななか、バージニア州フェアファックス郡の動物保護局は今月上旬、薬物実験を行っていたある研究施設に4,000匹ものビーグル犬が売却されたとの情報を入手した。
7日、彼らは動物保護団体『ホームワード・トレイルズ・アニマルレスキュー(Homeward Trails Animal Rescue)』のボランティア職員とともに施設を急襲。60日間かけ、檻に詰め込まれた犬たちを最後の1匹まで救出した。
■「動物実験は不可欠」と主張
動物福祉法に違反する行為があったのは、数十年にわたり動物実験を行ってきた『Envigo』社。公式ホームページには「世界の人々の命を救う画期的な新薬や化学合成物の開発に動物実験は不可欠」と明記していた。
バージニア州カンバーランドの施設はこのたび閉鎖されたが、まだ英米および中東に20近い施設がある。州の共和党上院議員は「ここは犬に不潔な餌を与え、寒さで凍死させ、授乳中の母犬に食べ物を与えないなどの虐待行為を2019年頃から行っていた」と指摘している。
■健康診断や予防接種も実施
フェアファックス郡動物保護局は現在、保護された犬の里親探しに尽力している。1匹ずつ健康診断を行い、ワクチン接種も実施し、必要があれば各種の治療を受けさせているという。
米国人道協会(The Humane Society of the United States)も彼らの活動をSNSで紹介し、会長のキティ・ブロックさんが称賛の言葉をつづっている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)