口唇ヘルペスとアルツハイマーの関連説 世界の研究者が続々と肯定
認知症とは、最近の出来事、人の名前や顔を忘れる、繰り返し同じことを質問する記憶障害だけではない。
「口唇ヘルペス」を何度も繰り返すという人がいる。その原因となるウイルスが、アルツハイマー型認知症の発症リスクにも関連するかもしれないという説があることをご存じだろうか。
イギリスの『The Sun』がそれを肯定する研究がますます増えていると報じ、注目を集めている。
■口唇ヘルペスの原因ウイルス
口唇ヘルペスを引き起こすのは、単純ヘルペスウイルス1型(以下HSV-1)。同2型は性器ヘルペス、臀部ヘルペスの原因として知られている。
口唇ヘルペスの患者のほとんどは幼児期に大人からHSV-1に感染し、それが体内に潜伏。ストレスや疲れがたまったとき、唇に違和感やチクチクした痛みが現れ、やがてジクジクした水ぶくれが生じるつらいものだ。
■注目されるHSV-1
アルツハイマー病の発症リスクとして知られる、アポリポ蛋白E遺伝子多型の「APOE4」。続いて1991年に、免疫系が衰退した高齢者の脳にHSV-1が存在することが判明。
1997年には「APOE4とHSV-1が脳内に同時に存在すると、アルツハイマー発症リスクがぐんと高まる」との論文が発表された。
さらに2014年、スウェーデン・ウメオ大学医学部の研究チームが「HSV-1の抗体保有者はアルツハイマー病発症リスクが2倍ほどか」「口唇ヘルペスの治療薬にアルツハイマー病の進行を遅らせる効果があるか、さらなる研究が必要」と発表した。
■異常なタウ・タンパク質増加も
さらに『The Sun』によると、英オックスフォード大学高齢化問題研究所、米マサチューセッツ州のタフツ大学、英マンチェスター大学などの研究チームが、HSV-1の抗体保有者の脳には異常にリン酸化したタウ・タンパク質が多く存在することを続々と突き止めた。
脂肪や糖質の多いジャンクフードや超加工食品も、異常なタウ・タンパク質を増加させるといわれてきたが、HSV-1の増加も同様か。そのせいで脳のある部分が栄養不足に陥ると、アルツハイマー病を引き起こすことがわかっている。
■記憶障害だけではない認知症
認知症とは、最近の出来事、人の名前や顔を忘れる、繰り返し同じことを質問する記憶障害だけではないとして、『The Sun』は専門家の助言を紹介した。
運転中に迷子になる、配偶者、自分がいる空間や場所、季節、月、時間帯などがわからないなどの見当識障害のほか、性格の変化やうつにも注意が必要だとしている。
なお、認知症発症リスクを下げるものとしては、家族や友人との交流、正しい食生活、定期的な運動などが挙げられるという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)