北海道で遭遇したバス停、その名前で本当に良いのか…? 標識の「4文字」に目を疑う
北海道に設置されたバスの停留所。特殊すぎる「地名」に驚きだが、道民からすると日常の光景(?)のようで…。
■現地を知る北海道民の「見解」に納得
北海道にやたら多い、家の名前のバス停かなり好きだよ。 pic.twitter.com/NJHxQYgZkY
— 道民の人@C100ひなび旅館本 8/13(土)東ラ-40b (@North_ern2) July 25, 2022
アカウント名の通り「生まれも育ちも北海道」という道民の人さんからすると、非常に見慣れた光景であるというこれらの停留所名。
しかしある日、新婚旅行で北海道を訪れた友人が「個人の家の名前がバス停になってる!」と驚いた様子を見せ、その際に「そういえば北海道には個人宅名のバス停がたくさんあって、宗谷バスさんの稚内西岸部には特に集中していたな」ということを思い出し、今回のツイートを投稿したのだ。
なお、他の都道府県の住民と思われる人々からは「個人情報はどうなっているんだ」という声も少なからず寄せられているようだが、こうした意見に対して道民の人さんは「北海道や田舎のこうした土地だと人、家が少なすぎて他に目印がなく、そもそもバスを利用する目的が『その家』にあることが多いです」「利用者、通行者、その他諸々の人が皆顔見知り且つ、どこに誰が住んでいるということが分かっており、誰もそのことを気にしないし、悪用するつもりもありません」と、現地の実情を知る人間としてのコメントを寄せている。
確かに現代では「個人情報」の4文字を見るとつい警戒し、身構えてしまうと思うし、それはそれで非常に重要なことである。しかし宗谷バスに詳しい話を聞くと、個人情報に関する観点からも、手厚いフォローがなされていることが判明したのだ。
■想像以上に歴史が古かった…
今回の取材を快諾してくれた宗谷バスの営業部担当者は「バス停」のフレーズが出た時点で、すぐにピンと来た様子。というのも、ちょうど今から一年前、2021年7月放送の『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)でも一連のバス停がフォーカスされており、定期的に話題となっているようなのだ。
まずは「個人宅名」が使用されたバス停の数を確認すると、稚内市西浜地区には「伊勢宅前」「吉田宅前」「田村宅前」「桜井宅前」「香林宅前」「米山宅前」「中山宅前」の計7箇所の停留所が存在することが判明。
「個人宅名を停留所名に採用する」という試みはかなり昔から行われていたようで、設置開始時期や理由については残念ながら「当時を知る者が既におりませんので、不明となっております」とのこと。しかし「他に目印となる施設も無かったことから、バス停を設置した目の前の個人宅を名称としたのではないかと推測しています」という補足も見られたのだ。
■もちろん名称が変更になるケースも
続いては、停留所に名字を冠した住民が引っ越してしまった場合、停留所名は「(旧)伊勢宅前」といったように変更されるのかを確認したところ、原則として変更せず従来の名前を使用することが判明。…というより、じつは前出の7つの停留所名の由来となった住民らの大半が既に引っ越しているというのだ。
空き家となった家に新たな住民が引っ越してきた場合は、流石に停留所名も変わるのでは…と確認すると「該当バス停前に新たにお住まいになられた方が現れたとしても、当社としてはそれに合わせて名称変更を行なう考えはございません」という回答が見られ、既に一連の停留所の名前は「個人宅名」でなく「地名」として定着している事実が改めて感じられた。
しかし「そういった方々からご要望が出ましたら相談の上、変更する可能性はございます」とのコメントもあったように、バス会社としても柔軟な対応を見せてくれるようだ。
海外旅行の際の「カルチャーショック」がその筆頭だが、人は慣れ親しんだ環境や考え方、常識と異なる風習を目にすると、疑いの眼差しを向けてしまうもの。しかし「なぜ現地の人々にはそれが必要なのか」を最初に考えてみることこそが、現代に強く求められる「多様性」の理解に繋がるのではないだろうか。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)