スポーツドリンクがぶ飲みは注意…? 医師が警告する「NGな熱中症対策」
異例の梅雨明けからの戻り梅雨となった今年の夏。今の時期は熱中症に注意が必要で…。
■要注意な今年の夏
環境省と気象庁は、2日の熱中症警戒アラートを全国35都道府県に対して発表した。全国各地で35℃越えの猛暑日が予想される。神奈川・川崎市にある新百合ヶ丘総合病院救急センター・センター長で救急医・外科医の伊藤敏孝さんは、今の時期は熱中症になるリスクが高いと指摘する。
「梅雨が明けて『突然暑くなった時』こそ注意が必要です。じつは暑い日がずっと続くと体が慣れてくるので、熱中症になる人は多くありません。むしろ、ずっと涼しい状態が続き、突然気温が上がった時のほうがなりやすいんです」(伊藤さん)。
突然雨が止んだと思ったら真夏日になり、再び雨の日が続いた今年の気温、湿度変化は危険なのだという。
■高齢の人に多いケース
外にいる時だけでなく、室内でも熱中症になるリスクはある。前出の伊藤さんが語る。
「高齢の方はクーラーを付けずに寝て、朝起きた時に高体温で動けない状態になっていることが多いです。通常は暑いと喉が渇いて目が覚めて水を飲んだり、クーラーの温度を変えて調整しますが、年をとると暑いか暑くないかよくわからなくなり、次第に具合が悪くなってしまうんです。昔は夜エアコンをつけなくても眠れましたが、今はつけないと厳しい。節電を呼びかけられる中でも、冷房は最低限つけたほうがいいでしょう」(前出・伊藤さん)。
■「水だけはよくない」
熱中症対策というと、「とにかく水分補給」のイメージが強いが、やみくもに水分を摂ればいいわけではない。「もちろん、こまめな水分摂取は大切ですが、水だけ飲むというのはよくありません。できれば塩分が入っているものや、こぶ茶を飲むのがいいでしょう」(前出・伊藤さん)。
また、利尿作用のあるアルコールやコーヒーなどの飲み物は、水分を尿として出してしまう可能性がある。「何を飲むか」が大切だ。
■スポーツドリンクに潜む危険
子供が夏休みに入るこの時期、外で友達と遊ぶことも多いだろう。そんな時、熱中症予防に持たせる「アレ」にも危険が潜んでいて…。
「スポーツドリンクを勧められますが、じつはスポーツドリンクはナトリウムの濃度が高くありません。身体に必要な量の4分の1程度しか入っておらず、体内と比べてナトリウム濃度が低いため、お子さんが飲みすぎるとナトリウムが下がって具合が悪くなってしまうことが多いんです。適度に飲む分には問題ありませんが、飲みすぎると電解質が下がってしまいます。経口補水液であればナトリウム濃度が高いので、比較的安全に水分とナトリウムを摂れますよ」(前出・伊藤さん)。
今年の夏は、例年以上に熱中症対策をする必要がある。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)