死刑囚が腎臓ドナーになるため刑執行延期を要求 「善い行い」と牧師が後押し
救われる命があるとはいえ、囚人の臓器提供は道徳的に問題視されている。
アメリカ・テキサス州の死刑囚が、自身の腎臓を寄付するため、死刑の執行を延期するよう訴えている。『New York Post』『ABC News』などの海外メディが報じた。
■知事に死刑執行の延期を要求
誘拐、性的暴行、殺人の罪でテキサスの刑務所に収監されているラミロ・ゴンザレス(39)は、今年7月に薬殺刑が予定されている。
しかし6月29日、ゴンザレスの弁護士はテキサス州のグレッグ・アボット知事に対して、刑の執行を1ヶ月遅らせるよう訴えた。その理由については、ラミロが「腎臓移植を必要としている人」へのドナーとみなされるためだと述べている。
■ドナーの「優れた候補者」
弁護士はまた、テキサス州の仮釈放委員会に6ヶ月の猶予を求めた。ゴンザレスの血液型が稀なB型であることから、大学の移植チームが彼を「優れた候補者」であると認めたとも主張している。
知事への手紙では「残っているのはラミロの腎臓を取り除く手術だけで、このプロセスは1ヶ月以内に完了するでしょう」と述べた。
■元刑務所の牧師も後押し
弁護士はさらに、著名な死刑反対派で元刑務所の牧師でもあるカンター・マイケル・ズーズマンからの手紙を紹介した。
手紙には「他人のためにドナーになりたいというラミロの願いは、死刑を止めたり遅らせることが目的ではありません」「ラミロが彼自身の魂と神のために善い行いをしたいのだと信じています」と書かれていた。
■囚人の臓器提供には懸念も
テキサス州では受刑者が臓器を提供することを禁止していないが、ゴンザレスの要求は今年初めに一度拒否されている。
彼が腎臓のドナーになれば、それで救われる命もあるかもしれない。しかし臓器共有ネットワーク(UNOS)は、臓器が道徳的な危険にさられるとして、死刑囚からの臓器提供については懸念を表明している。
・合わせて読みたい→「彼女の母親に腎臓を提供したのに…」 移植手術1ヶ月後にフラれた男性に励ましの声
(文/Sirabee 編集部・びやじま)