「選挙の街頭演説に助けられた」 留学生から”意外な理由”で絶賛されて…
一部で否定的な意見もある選挙期間中の街頭演説。意外なところで役に立っていて…。
「皆さんの暮らしを守っていきます」「もうこんな政治は変えませんか?」──。参議院選挙は10日の投開票に向けて、各候補者に熱が入っている。
街中では、立候補者たちが街頭演説で支持を訴える姿を目にする。この街頭演説、人によっては「うるさい」「煩わしい」と思う人もいるかもしれないが、留学生からは好評のようで…。
■賛否ある街頭演説
選挙期間中に行われる街頭演説は、候補者であれば誰でも行うことができる。拡声器を使って話せる時間帯は、午前8時から午後8時まで。
駅前や路上で行うことが多く、交通規制が行われることもある。ネット上では「知らない事を勉強できるから街頭演説は知識の宝庫」「候補者や議員の方が身近に感じる」「テレビのニュースでは分からなかった政治の裏側が知れて勉強になる」など、街頭演説の大切さを実感する声があがっている。
一方で、「しばらく聞いたけど同じことしか言ってない」「選挙カーがバスロータリー内の車道のど真ん中に駐車していて通行の邪魔」「いかに自分の政党の名前を印象に残すかばっかでつまらない」など、批判的な意見も見受けられる。
■「日本語を勉強できた」
駅前で街頭演説しているところを見ると、じっくり聞き入っている人もいるが、立ち止まったり、見向きもせずに通り過ぎてしまう人も多い。
ただ、意外なところで街頭演説を絶賛する声が。30代の韓国人男性のAさんが語る。
「私は7年前、日本に留学で来ていたのですが、街頭演説にはすごく助けられました。知り合いの留学生から教えてもらって実践したのですが、演説で日本語を勉強したんですよ」(Aさん)。
■話し方がポイントか
日本人が政治や社会情勢を理解するのに役立ったというのはよく聞くが、外国から来た人が語学を学ぶのに使ったというのは聞いたことがない…。どんなところが役に立つのか。
「候補者の人たちが話すスピードがちょうどいいんです。1つ1つの言葉をはっきりとみんなが聞き取れるように話してくれます。日本人は、アメリカ人が英語で会話しているのを聞くと『すごい早口でしゃべってて聞き取れない』と思いますよね? あれと同じで、私達も日本人の会話は早口に感じるんですよ(笑)。でも、街頭演説はゆっくり話してくれるので聞き取りやすいです」(前出・Aさん)。
候補者によって話し方が異なるとはいえ、たしかにまくし立てるように話す候補者は見たことがない。拡声器を使っているので、声もしっかり聞き取ることができる。
■社会情勢の理解にもつながる
前出のAさんは、街頭演説は日本語を勉強する「教材」になったと話す。
「これは良くもあり、悪くもある点かもしれませんが、候補者たちが話す内容は大体同じです。だから、最初は聞き慣れない言葉でも、何回も聞いているうちに自然と頭に入ってくるようになります。しかも、日本の社会情勢のことを話しているので、その辺りのこともなんなとなく分かってきます。もちろん、街頭演説だけで日本語を勉強したわけではありませんが、役立ったのは間違いないですよ」(前出・Aさん)。
恥ずかしながら、記者は日本に住んでいながらきちんと街頭演説を聞いたことがない。この機会に演説を聞いてみると、新たな発見があるかもしれない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)