日本復帰50周年の沖縄 『世界遺産』で琉球王国グスクと4つの遺産群に迫る
19日放送の『世界遺産』では、節目を迎えた沖縄の世界遺産を2年がかりで撮影。サンゴ礁が産んだ海の王国に迫る。
■祈り場としてのグスク
首里城の守礼門(しゅれいもん)の奥にある園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)は、王が城外に出るとき無事を祈願した拝所。門の中には建物があるわけではなく、広がる森が聖地である。
琉球では木々や岩、岩陰に神が降りてくると信じられてきた。首里城には京の内(きょうのうち)と呼ばれる祈りの場の森があり、この森が首里城発祥の聖地となっている。グスクはみな、祈りの場に造られているのだ。
祈りの場は沖縄に無数にあるガマと呼ばれる洞窟にも見られる。今でも人々が祈りを捧げるガマは、古代人が暮らした住居であり、横穴式の墓であり、先祖供養の場でもある。沖縄戦では防空壕としても使われた。ガマは古来より、島の人々とあり続けてきた。
■琉球王国最高の聖地
沖縄本島東南端に神の島と呼ばれる久高島がある。沖縄の人々は、水平線の彼方に楽土「ニライカナイ」があると信じてきた。久高島は、ニライカナイから最初に神が降り立ったと言われる島である。
海を挟んで久高島をのぞむ本島の森に、かつて琉球随一の聖域とされ、 王族しか立ち入ることを許されなかった斎場御嶽(せー ふぁーうたき)がある。サンゴ由来の琉球石灰岩の巨岩と森が作る自然のままの空間。
王が国政をつかさどるのに対し、王妃や王族の女性たちは神事を担っていた。王 国の最高神女の就任儀式がここで行われ、儀式に使われた聖なる水は、今も絶えることなく鍾乳石から滴り続けている。
■沖縄は「祈りの島」
番組ディレクターの天野裕士氏とプロデューサーの堤慶太氏からコメントが届いている。
天野氏:沖縄は、「祈りの島」です。忘れがちな自然に対する感謝を、島の人たちの笑顔に長く見てきました。琉球、何故だかは分かりませんが、子供の頃の浦島太郎の竜宮と重なって、いつも何かを教えてくれる大先輩、沖縄を描けて幸せです。
堤氏:今回の撮影は、コロナ禍による緊急事態宣言のため何度か中断を余儀なくされました。なんとか完成できたのは、沖縄のみなさんが撮影に協力してくださったからです。火災で焼失した首里城正殿の復元工事は、今年11月から始まる予定です。かつて撮影した正殿の映像を今回の放送でも使っていますが、沖縄のみなさんが大切にしてきた首里城が、1日も早くかつての姿を取り戻すよう願っています。
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(文/Sirabee 編集部・寝惚まな子)