横浜中華街、人であふれ返るも… 「客が戻らない」原因は”新スタイル”か
コロナ禍で横浜中華街はどうなっているのか。現地に足を運んでみると…。
かつて観光やデートスポットとして絶大な人気を誇り、土日になると歩くのも困難なほど大混雑していた横浜中華街。だが、先日、コロナ禍で老舗中華料理店が閉店したという不穏なニュースが。
今、中華街はどうなっているのか。現地に足を運んでみると…。
画像をもっと見る
■人気店がまさかの破産
2日、横浜中華街にある「聘珍樓(へいちんろう)」が横浜地裁から破産開始決定を受けた。同店は1884年に創業し、正統派の広東料理を提供するお店として、中華街のメインストリートである中華街大通り店に本店を構え、多くの人に愛されていた。
だが、5月15日に移転を理由に閉店することを発表。現在はシャッターが下ろされ、立ち入りできないようになっている。
人気店の破産にショックを受けた人も多かったのではないか。
■中華街にはたくさんの人が…
コロナ禍でどの飲食店も苦境に立たされているのはご存知の通り。老舗料理店も店を畳む中、横浜中華街はどうなっているのか。
6月初旬、現地に足を運んだ。平日の午前11時、中華街の門をくぐって目を見張った。大勢の人であふれ返っていたからだ。
じつは、記者は緊急事態宣言期間中だった昨年8月、中華街に行ったのだが、その時はお昼時でも人通りはまばらで以前の賑わいが噓のようだった。中華街の店舗スタッフは現状をこう話す。
「たしかにコロナになってから昨年の夏ごろまでは全然人が来ませんでした。昨年末からようやく人が戻ってきた感じです。平日のお昼や休日は人が多いですよ」(中華街の店舗スタッフ)。
■「お店に客が入らない」
一見、繁盛しているように見えるが、苦しい状況は続いているという。「出店で買って食べ歩いたり、家に持ち帰って食べる人が多いんです。出店はお客さんが戻っていますが、飲食店にはあまり人が入っていないため、経営が苦しいところも少なくないですよ」(前出・中華街の店舗スタッフ)。
たしかに街は人であふれ返っているが、よく見ると台湾唐揚げやフルーツ飴など出店で買って食べる人ばかりでお店に入る人は少ない。また、「臨時休業」のお店やシャッターが閉まっているお店も散見された。
前出の中華街の店舗スタッフによると、街を歩いているのは修学旅行生が多いという。実際、出店には制服を着た中高生が多数見られた。
■「新スタイル」が定着
家族連れの50代男性は出店でたくさんの物を買ったのか、袋を両手に抱えている。この男性にお店に入らない理由を尋ねた。
「コロナ禍になってテイクアウトしたり、出前を頼む機会が増えたので、外食に行く回数は減りました。お店で買って、家でテレビでも見ながらゆっくり食べるのに慣れてしまったんです」(家族連れの50代男性)。この2年間で、家で過ごす習慣が定着したようだ。
今回、横浜中華街に行って分かったこととしては、一時期に比べると人は戻っているということ。しかし、「新スタイル」が定着したことで飲食店は依然として苦しい状況に置かれていることだ。
かつてのように、お店で大人数で大皿の中華料理をつつく日が来るのはもう少し先になりそうだ。
・合わせて読みたい→葛飾区で究極の「下町中華」を発見 その美味しさに震えた
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)