イギリスでサル痘患者を確認 「ナイジェリアから帰国」と英国保健安全保障庁
感染後1〜5日の間に皮膚に隆起をともなう発疹が生じるサル痘。顔から始まるのが特徴だ。
このほどイギリスで1名が「サル痘(英名:monkeypox)」を発症し、ロンドンの病院で治療を受けていることを当局が発表。人間への感染も懸念されるため、その患者の行動歴や人との接触についてトレースが行われているという。
■濃厚接触者に連絡
英国保健安全保障庁(UK Health Security Agency :以下UKHSA)の発表によれば、サル痘を発症した患者が入院しているのは、ロンドンにあるセント・トーマスNHS財団病院(Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust)の感染症専門ユニット。
患者はナイジェリアからの帰国者だった。人から人へも感染するため、UKHSAは国民保健サービス(NHS)と協力しながら濃厚接触者に連絡し、必要に応じて検査を受けるようアドバイスしている。
■サル痘は人獣共通感染症
サル痘は1950年代に最初に確認され、1970年代には霊長類の動物との接触でヒトへの感染例が確認され、天然痘と似ていると話題になった。
イギリスに最初に持ち込まれたのは2018年。そのときもナイジェリアからの帰国者だった。2003年にはアメリカで流行を見たが、近年は中央アフリカと西アフリカで患者が散発する程度だったという。
■致死率は最大で10%
血液、体液、水疱、かさぶたに触れるなどして伝染するサル痘だが、UKHSAは「致死率は天然痘よりぐんと低く、最大でも10%程度。殆どの人が回復する」と説明している。
感染予防のためには、サル痘患者の皮膚の水ぶくれやかさぶたに触れない、咳やくしゃみをマスクで遮る、患者が使用した衣類、寝具、タオルに注意するなどが必要だそうだ。
■隆起を伴う発疹が顔から
1970年代に根絶したとされる天然痘と、同様の症状を引き起こすサル痘。感染後1日から21日の間に発熱、頭痛、筋肉痛、腰痛、リンパ節の腫れ、悪寒、倦怠感などが現れ、これらが2〜4週間続いて完治する。
また、感染後1〜5日の間に皮膚に隆起をともなう発疹が生じることも特徴。顔から始まり、体に広がってからかさぶたを形成し、治癒するという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)