小田急線の”マイナー駅”南新宿駅で降りてみた 現地で気づいた「新発見」とは…
小田急線で利用者が最小の南新宿駅。降りてみるとホームには3人しかいなくて…。
新宿や下北沢、小田原など、東京と神奈川を結ぶ小田急電鉄小田原線──。そんな小田急線の中で、利用者数が最小の駅がある。
新宿駅の次に止まる南新宿駅だ。「マイナー駅」で降りてみると、意外な発見があって…。
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■小田急線で最小の利用者数
南新宿駅は巨大ターミナル駅・新宿駅の南西エリアである東京都渋谷区代々木にあり、開業は1972年と古い。新宿駅から各駅停車本厚木方面の電車に乗って1駅で行けるのだが、この駅で降りたことがある人は少ないのではないだろうか。
実際、2020年度の1日の平均乗降・乗車人数は3,153人と小田急線全70駅中最下位だ(隣の参宮橋駅は15,696人)。記者も、東京に10年住んでいて、小田急線を何度も利用しているが、南新宿駅で降りたことは1度もない。
新宿という都会にありながら乗降客数最下位…、そのためマニアの間では「秘境駅」と称されている。
■都会のけん騒を忘れる
「秘境駅」には何があるのだろうか。GW(ゴールデンウイーク)中の5月初旬のお昼前、南新宿駅で降りた。
小田急線にはそれなりに人が乗っていたが、この駅で降りたのは記者だけ。駅のホームにも3人しかいなかった。
ふとホームの幅が狭いことに気づく。平日の通勤ラッシュで人があふれることもないのだろうか…。
改札を出て、外に出ると非常に静かなことに驚いた。1つ前は新宿駅だというのに、人通りもまばらで、ざっと見回してもマンションやビルばかり。
駅前にバスやタクシー乗り場もなく、小さな駐輪場がある程度。一瞬、自分が東京にいることを忘れそうになった。
■利用者数が少ない理由は…
駅を出て左のトンネルを抜けると、住宅街や保育園があり、その先には大手予備校の代々木ゼミナールがあった。
駅から右に進むと商店街。歴史がありそうな電気店やクリーニング店が並んでいたが、この日は連休中とあってか、どこもシャッターが閉まっていた。
一見、閑散としているように見えるが、少し歩くとスーパーやコンビニも何軒か並んでおり、生活には困らなそうだ。歩き続けるうちに、カラオケ店やファミリーレストラン、居酒屋が見えてきた。
けっこう栄えてるなと思っていたら、代々木駅に到着…。実は、南新宿駅から徒歩5分で代々木駅に、7分で新宿駅に行ける。
多くの路線が入るアクセスのいい駅がすぐ近くにあることも、南新宿の利用者が少ない理由かもしれない。
■夢を追う人が集まる
しばらく商店街を歩いていると、若い男性2人組が駅近くのコンビニ前で談笑していた。声をかけると、代ゼミの学生だった。
「いま浪人していて、予備校に通っています。ゴールデンウイーク中ですが、自習室を使いたくて来たんです。今年なんとしても合格したいので、今日は1日勉強ですよ…」(代ゼミの男子学生)。
彼らがいた近くには、小さなダンススクールがあった。そこから出てきた20代の男性にも話を聞いた。「週に2~3回、ここでレッスンを受けていますよ。将来は何かしらダンスに関わる仕事につきたいと思っているので、連休も関係ありませんよ」(20代の男性)。
世間が連休ムードの中、目標達成に向けて汗を流していた。南新宿駅は、そうした夢を追う人が集う場所なのかもしれない。
今年のゴールデンウイークは「自粛要請」が出されなかったこともあり、旅行や帰省でさまざまな地に足を運んだ人も多いだろう。今度は、南新宿に降り立ってみれば新しい発見がきっとある。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)