「ロシア語専攻の学生がウクライナ語を勉強」 東京外国語大学に聞いた学生の”変化”

東京外国語大学がウクライナ語講座を開催している。100人超の学生が申し込むなど反響が大きかったようで…。

2022/04/28 03:45

東京外国語大学

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2か月が経過した。日本では「ロシア語隠し騒動」など一部混乱も見受けられるが、そんな中、27日から東京外国語大学では「ウクライナ語講座」をスタートした。東京外大に問い合わせると、ウクライナ情勢を受けて学生の「変化」が明らかになって…。


関連記事:手越祐也、福岡で卒業式にサプライズ登場 ウクライナからの留学生とも会話

■日本にも影響が

ロシア語標識

ロシアによるウクライナ侵攻が日本でも暗い陰を落としている。3月にはロシア料理店の看板が何者かによって壊され、4月にはJR東日本が恵比寿駅(東京都渋谷区)に設置されたロシア語の案内表示を「調整中」という紙で覆い隠していたことが発覚した(現在は復活)。

何の罪もないお店や言語が槍玉に上がるなど、各地で不穏な話題が続いている。

関連記事:「ロシア侵攻」犠牲者を追悼 若きウクライナ人が訴える悲痛な思い

■東京外国語大学の試み

そんな中、東京外国語大学(東京都府中市)の取り組みに注目が集まっている。22日から、ウクライナ人の避難民を受け入れる自治体などの職員向けに、オンラインによるウクライナ語の入門講座を開講したのだ。

辛い思いをした人たちに寄り添いたいと思っても、言語の壁を感じていた人にはありがたい試みに違いない。さらに、27日から東京外大の学生を対象に緊急ウクライナ語講座も始まった。

同校のホームページによると、ウクライナ語初習者向けの講座で、6月1日まで全6回を予定。講義はオンラインで行われ、ボランティアなどウクライナ支援活動をしたい学生の参加も推奨している。

関連記事:戦火を逃れ母国ウクライナからイタリアへ… 初登校した児童2名を全校で大歓迎

■学生の声がきっかけ

なぜ、この講座を開催したのだろうか。東京外国語大学に問い合わせた。

「今回の事態を受けて、学生の中でも『何かしたい』という声が多く聞かれたため、まずは本学らしく言葉を学ぶところからスタートしようと考えました。卒業生からも、受講させてほしいという問い合わせがいくつもありました。今回は残念ながら在学生に限らせていただきましたが、そうやってすぐにリアクションしてくださる卒業生が多数いることを心強く思います」(東京外国語大学 広報・社会連携室)。

意欲的な学生の思いがあったからこそ、実現したのだろう。


関連記事:「猛スピードの自転車に看板を壊された」 ロシア食品専門店の店主が明かした恐怖

■「ロシア語専攻者の申し込みが多い」

講座を通じて、ウクライナの文化に触れることもできるという。

「日ごろから言語を学んでいる本学学生が対象ですので、一般向けよりも本格的に文法を教える予定です。言語を学ぶ際に文化的知識は不可欠ですので、当然ながら文化に関しても触れます。また、使用教材は会話をベースにしたスタイルのものなので、実践的な会話を練習しつつ、文法を学ぶことになります」(前出・東京外国語大学)。

学生からは予想を上回る応募があったという。「100名超の申し込みがありました。ロシアや中東欧地域の言語を専攻する学生だけではなく、幅広い層が関心を持っていることがわかりました。一番申し込みが多かったのは、やはりロシア語専攻の学生でした。今回の事態に対して、学生たちなりに思うところがあるのだろうと感じています」(前出・東京外国語大学)。

ウクライナの言語や文化を学んだ学生たちが、いつか現地に赴き笑顔で交流できる日が来ることを祈りたい。

・合わせて読みたい→手越祐也、福岡で卒業式にサプライズ登場 ウクライナからの留学生とも会話

(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

【Amazonセール情報】ココからチェック!