ビーチに座礁したイルカがストレス死 集まった群衆が誤った方法で海に帰そうと…
座礁したイルカに遭遇したら、まずは当局に通報。囲んだり餌を与えたりせず、遠くから見守るべきだという。
今月10日、アメリカのあるビーチに座礁したメスのハンドウイルカ。そこに群衆が押し寄せ、背中に乗るなどしたことから強いストレスを受け、イルカはその後に死亡した。
「海に戻したてあげたくて」と必死に体を押した若者たち。しかし、その行為はもっともやってはならないことだったという。
■群衆は力づくでイルカを…
イルカが座礁したのは、テキサス州ブラゾリア郡にあるクィンタナ・ビーチ。通報を受け対応したのは、テキサス州の海辺に座礁・漂着(ストランディング)した海洋哺乳動物の保護にあたる『Texas Marine Mammal Stranding Network(TMMSN)』という非営利団体だった。
群衆がイルカを海に戻そうとすればするほど動きは弱々しくなり、TMMSNの隊員が駆け付けたとき、イルカはすでに息絶えていた。
■懲役1年あるいは罰金刑も
TMMSNのエグゼクティブ・ディレクターであるハイディ・ホワイトヘッドさんは今、この件に関して「ストレスを与えるそうした行為は、動物に対するハラスメント。海洋哺乳類保護法に違法する行為です」とFacebookを通じて強調している。
弱った動物の上にまたがるなど言語道断であり、最大で1万1,000ドル(日本円で約139万円)の罰金あるいは1年の懲役刑が下る可能性があるという。ただし今回の件では、誰の行為が処罰されるべきなのか特定できていないという。
■取り囲むことすらNG
TMMSNは、弱っている海洋動物に遭遇したら、ただちにホットットラインに知らせてほしいと電話番号を示している。取り囲んだり餌を与えたりせず、150フィート(約45メートル)以上離れたところから見守ることが正しい方法だという。
また、海に戻してあげたいという親切な気持ちは理解できるものの、「体を押される、体に触れられること自体が動物にとっては強いストレスとなるという事実を覚えておいてほしい」とのことだ。
■怒りの声が続々と
アメリカ海洋大気庁によると、この国では2002年以来、銃、クロスボーで撃たれる、刃物で刺されるなどして少なくとも27頭のイルカが殺されているという。
このたびの件に関し、「イルカは苦しんで死んでいった。この若者たちも同じように苦しむべき」「弱った動物にまたがるなんて非常識。とても考えられない」などと世間からは大きな怒りの声が湧いている。
■座礁し息絶えたハンドウイルカ
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)