ロシア軍が放射性の「お土産」を略奪か ウクライナは「ダーウィン賞を受賞すべき」
持ち歩くだけで危険な放射線源を戦利品に? ウクライナの政府機関が危険性について警告している。
ウクライナの政府機関は、ロシア軍の兵士たちがチョルノービリ(チェルノブイリ)の研究所を襲撃した際、高濃度の放射線源を「お土産」として持ち帰ったと主張している。『Newsweek』などの海外メディアが報じた。
■研究所から放射線源を略奪
ウクライナのチョルノービリ立入禁止区域管理局は10日付のFacebookで、ウクライナに侵攻したロシア軍がチョルノービリにある2つの研究所に侵入し、略奪を行ったと発表した。
ロシア軍はエコセンター研究所にある電離放射線源の貯蔵所に入ると、133個の放射線源、合計700万ベクレル分を盗難または損傷。管理局によると、これは約700キロの放射性廃棄物に匹敵する量だという。
■奪ったモノは戦利品に
ロシア軍はさらに、原子力安全研究所の事務所と研究所でも略奪を行った。研究所には電離放射線源と燃料溶融物のサンプルがあり、現在これらがどこにあるかは不明だという。
当局は、盗まれた放射線源は立入禁止区域のどこかに廃棄されている可能性もあるが、ロシア軍の兵士によって「お土産」として持っていかれた可能性が高いと主張している。
■持っているだけで命の危険も
原子力会社はこうした放射線源について、ほんの少量であっても、取り扱いを誤ると命に関わる危険があると述べた。
「このような戦利品を2週間持ち歩くと、確実に放射線熱傷になります。さらに放射線による原子病や、体内で不可逆的なプロセスが始まるでしょう」と管理局は警告している。
■「ダーウィン賞」を贈るべき?
なお、管理局はロシア軍に対して、愚かな行為で自身の寿命を縮めてしまった個人などに送られる「ダーウィン賞」を受賞すべきとも主張している。
「このような行為は、赤い森のほこりを吸い込んだ愚か者からさえダーウィン賞を奪うだろう」と、ロシアの兵士たちが保護装置なしでチョルノービリ周辺の森林、通称「赤い森」に入ったという報告に言及した。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)