「健康なら便を売り数千円ゲットして」 バイオ企業の真剣な広告が話題に
難治とされる炎症性大腸炎の治療薬開発には、腸内環境が健康である人たちの便の調査が必要だという。
アメリカ・アリゾナ州で今、ある企業が「健康で規則正しい生活を心がけているあなた。便を売ってください」という広告を出し、人々をびっくりさせている。いったいどのような人がその条件をクリアできるのか。『Arizona’s Famil』『GIZCHINA』などが報じ、話題を呼んでいる。
■「健康で快便ならぜひ」
その広告の主は、マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くSeres Therapeuticsというバイオテクノロジー企業だ。
ヒトの便のサンプルを集めて腸内環境の研究を行う『THE GOODNATURE PROGRAM』の一環として、このほどアリゾナ州テンピに便の受付窓口を設置。「健康かつ快便な人はぜひ参加してほしい」と呼び掛けている。
■ひと月18万円稼ぐ人も
同社の設けた専用ウェブサイト『goodnature.com』では、便サンプルの提供者には1回あたり25~75ドル(日本円にして約3,000~9,000円)が支払われると説明されている。
すでに、本社があるケンブリッジやカリフォルニア州のアーバインでも便の収集が行われており、順調に便を届けている人では、ひと月に最大1,500ドル(約18万円)を稼いでいるそうだ。
■条件はなかなか厳しい
最も注目が集まっているのは、登録を希望する人の健康状態に関する条件。18〜50歳の標準体型の男女であることが前提で、正しく健康的な生活を送っていることも大事になる。
「喫煙しない、飲酒しない、妊娠していない、消化器系の病歴がない、薬物の使用歴がない」とあるほか、週に3〜4回便を届けることになるため、食生活が乱れている人や便秘の人は挫折してしまいそうだ。
■炎症性腸疾患の研究のため
Seres Therapeutics社は、原因がまだはっきりとはわかっていない潰瘍性大腸炎、クローン病、そして抗菌薬の長期使用で主に高齢者の腸内細菌叢が乱れて起きるC.ディフィシル感染症について、10年にわたり研究を進めてきた。
治療薬の開発と完成に向けては、何より腸内環境が健康である人たちの便の調査が必要になるとのこと。「世の中に貢献するつもりで多くの人に参加してほしい」と真剣に呼び掛けている。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)