4月からホテルの歯ブラシが「有料化」? 真相をホテル3社に聞いた
春からプラスチック資源循環促進法が施行される。旅行の準備にひと手間増えそうで…。
4月1日から、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進)が施行される。この法律が施行されることで、ネット上では「ホテルのアメニティが有料化するのでは?」と心配する声があがっている。
これまで出張や旅行に行くと、当たり前のように部屋にある歯ブラシやカミソリを使っていたが、春からは今まで通り使えなくなってしまうのだろうか。ホテル3社に聞いてみると、意外な答えが返ってきて…。
■「義務」ではない
プラスチック資源循環促進法は、2021年6月に国会で可決された。国が「特定プラスチック使用製品」として定めたフォークやスプーン、ヘアブラシ、カミソリ、ハンガーなど12品目を年間5トン以上取り扱うホテルや旅館、コンビニなどの小売業に対して、使用の合理化を求める法律だ。
現状、無償で提供されたり、1度しか使われずに捨てられてしまう状況を改善するために制定された。誤解されがちだが、プラスチック製品の使用や設置禁止、有料化が義務付けられるわけではない。とはいえ、プラスチックの資源循環を推進するため、アメニティ類のあり方が見直されるのは事実である。
■コンビニも対策を実施
実際、コンビニではすでに対策に乗り出している。ファミリーマートでは、東京都内10店舗の実証実験として、パスタを購入するとフォークではなく、箸を渡す試みを実施している。
ローソンでは、4月1日から柄の部分に穴をあけたスプーンとフォークを提供し、セブンイレブンでも同日から植物由来の素材を30%配合したスプーンやフォークを導入予定だ。
■ホテルに問い合わせると
では、大手ビジネスホテルでは、どのような対策を検討しているのか。
東横インは「これまでは歯ブラシを客室に置いていましたが、フロントのアメニティコーナーに設置し、ご利用のお客様にお持ちいただく形に。また、マイ歯ブラシをご持参いただくようお願いしております。それ以外のアメニティはもともとフロント付近のアメニティコーナーに置いておりましたので、変更ございません。有料化することはありません」(東横イン広報担当者)。
アパホテルを運営するアパグループに聞くと、「4月以前と変わりなく設置いたします。各アメニティは、バイオマスなどの環境対策商品となります。また、お客様がご予約時点でお選びいただける『連泊エコアメニティプラン』を新設し、連泊時にアメニティを使用しないプランもございます」(アパグループ)。こちらもアメニティの有料化は現状、予定していないという。
スーパーホテルでは、「『プラスチック資源循環促進法』をきっかけに、持続可能な開発⽬標『SDGs』の達成に向けた取り組みの⼀環として、客室ユニットバス内にご⽤意しているアメニティ(⻭ブラシ、カミソリ他)の設置を取りやめ、フロントロビーよりご⼊⽤のお客様に必要分のみをご提供させていただきます。現時点で有料化の予定はございません。また、プラスチック廃棄物の削減を⽬的とし、お客様にはマイ⻭ブラシの持参を促進し、脱プラスチック化推進にお客様と共に取り組んでまいります」(スーパーホテル広報部)と回答。
アメニティは部屋に置かれなくなるが、4月からすぐに有料化することはなさそうだ。
■「あの人」への恨み言も…
春から、ホテルのアメニティが変わることに対して、ネット上では「自分の歯ブラシを持っていくと非日常感が薄れる」「アメニティも旅行の楽しみの1つだったのに…」「ハイグレードなホテルのアメニティはリッチ感があった」などの声があがっている。
また、「レジ袋はゴミ袋に使えたし、また日本の業者と消費者が泣く」「小泉進次郎の置き土産」と“前環境大臣”への恨み言も見受けられた。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)