プーチン大統領に「ウクライナから手を引け」 ロシアの芸術家ら2万人が署名
ロシアの芸術家たちが一致団結してプーチン大統領へのオンライン署名に参加。反戦をうったえた。
ウラジーミル・プーチン大統領の強引なウクライナ侵攻を批判する人々は、ロシア国内でも増える一方だ。
この国が誇る文化芸術の第一線で活躍する人々も立ち上がり、大統領に送る反戦の公開書簡のオンライン署名に次々と参加していたことがわかった。『QUARTZ』『Techio』などが報じている。
■オンライン署名に大勢が参加
その公開書簡は、現代文化および芸術専門のロシアのウェブサイト『Spectate』が制作したもので、宛先はプーチン大統領。
ウクライナへの軍事作戦をやめ、ロシア軍を速やかに撤退させるよう求める内容で、賛同者によるオンライン署名には文化芸術にたずさわる2万人近くが参加しているという。
■公開書簡の内容
「過去30年間にわたり順調だった自分たちの文化芸術の活動が、今まさに停止の危機にさらされている」
「長く続いてきた他国との友好なパートナーシップが断ち切られ、私たちは活動の場から切り離されつつある。今、他の国において文化芸術活動を行うのは不可能だ」
「これはロシアの文化芸術、そして経済を壊滅的な状況に追い込み、わが国は完全に孤立するだろう」
世界からロシアに向けられる非難、文化的制裁や経済的制裁は、彼らにとって死活問題なのだ。
■一流歌手も苦境に
たとえば、一流ソプラノ歌手として国際舞台で活躍してきたロシア出身のアンナ・ネトレプコは、ドイツのハンブルク、アメリカのニューヨークで予定されていたオペラ公演からの降板を余儀なくされ、ファンを失望させている。
ロシア人の芸術家が、外国でどれほどの屈辱や苦しみを味わい、窮地に立たされているか、プーチン大統領は知る必要があるはずだ。
■リストには一流音楽家の名も
その公開書簡の情報はまたたく間にロシア出身の音楽家、芸術家、建築家らの間で拡散。
署名者のリストには、セミヨン・ビシュコフ(チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者)、エフゲニー・キーシン(ピアニスト)、アレクサンドル・メルニコフ(ピアニスト)、キリル・ペトレンコ(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者)、ナタリア・プシェニッチニコワ(ソプラノ歌手)、ポーリナ・オセチンスカヤ(ピアニスト)、ダニール・トリフォノフ(ピアニスト)など、クラシック界の著名音楽家の名が並んでいる。
■ウクライナの人々に寄せる思い
芸術家たちは、故人や先輩、自分たちが長年の努力で築きあげ大切にしてきたものが、ウクライナ侵攻というプーチン大統領の愚かな決断により、あっけなく崩れ去ることに大きな恐怖と不安を募らせている。
また、ウクライナには彼らの親類、友人、知人、仕事仲間がたくさん暮らしており、彼らの命、生活の安全を真に心配しているとある。SNSにつづられた悲痛な思い、そして怒りや苛立ちの言葉も国内外に大きな反響を呼んでいる模様だ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)