捕虜となったロシア兵に差しのべた優しい手 ウクライナ国民の行動に賞賛の声
ウクライナで捕虜になったロシア兵に、ウクライナ国民がとった行動が世界中から賞賛されている。
母国の街を次々と攻撃し、制圧する憎いロシア軍。ところが、ウクライナの人々は心が優しい。心に傷を抱えた兵士たちをいたわる感動の動画の様子に、世界から称賛の声があがっている。イギリスの『Mirror』や『Daily Mail』が報じている。
■泣きながら母国に電話
瞬く間に世界中に拡散された、1本の動画。そこには温かいお茶を手に、泣きながら携帯電話の画面に話しかけている若い男性の姿が写っている。
この男性は、ウクライナ侵攻の軍事作戦に参加させられたロシア兵の1人で、ロシア軍から古い地図を手渡され道に迷っていたところで身柄を拘束され、捕虜となった。
だが、ウクライナの人たちはそんな男性に優しい手を差しのべたのだった。
■「安心して。息子さんは元気よ」
彼らは男性に温かいお茶と食べ物を手渡し、肩を叩きながらいたわりや慰めの言葉をかける。ある女性は携帯電話を取り出すと番号をタップし、どこかに連絡を試みるが、そこで男性は涙を流し始めた。
電話の相手はロシアに住む彼の母親ナターシャさんだった。女性が「ナターシャさん、安心してください。息子さんは元気に生きていますから」と伝えると男性に替わり、「大丈夫よ。今に事態はきっと良くなるわ」という母親の言葉に、兵士は号泣。携帯電話の画面に向けキスを送った。
■無知な若い男たちを利用
動画にはウクライナ語で「この若い男性が悪いわけではないのです。彼は何も知らずここに送られてきたのですから」というナレーションが流れた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も敵国ロシアを強く非難した際、訓練された本格的な兵士ではなく、無知な若者に武器を持たせ戦地に送り出していることを指摘。
「捕虜たちは誰もが『軍事訓練があるとだけ聞いた』『なぜここにいるのか分からない』などと話している」とし、ウラジーミル・プーチン大統領にただ利用されてしまった彼らを哀れんだ。
■平和と収束への祈り
この動画が拡散されると、「敵に温かいお茶とお菓子を手渡す…なんて素晴らしいことだろう」「電話を貸したこの女性に神のご加護がありますように」など、ウクライナ人の寛大さに大きな称賛の声が上がった。
今は、「ただ軍服と武器を与えられウクライナに送り込まれた若者たちを、どこかに避難させてあげられないのか」といった声もあがっており、プーチンを憎んでもロシア兵を憎めずにいる様子が、ますます浮き彫りになっているようだ。
多くのロシア人は、ウクライナに友人や家族が住んでいる。誰もこうした事態を望んでいないのだろう、SNSには平和と戦争収束への祈る言葉が無数書き込まれている。