石原慎太郎・元都知事が死去 田中康夫知事誕生を予言など作家の感性活かす
運輸相・東京都知事などを務めた石原慎太郎さんが死去。取材記者が見たエピソードとは…。
石原慎太郎・元東京都知事が2012年の総選挙で演説している動画を見ている最中に、石原さんの訃報が入ってきた。これも何かの縁だろうか。
■作家としての感性失わず
石原さんといえばご承知の通り、『太陽の季節』で文壇デビュー。メディアへの露出も多く、慎太郎カットが流行るほどに、時代の寵児となった。
先頃、亡くなられた瀬戸内寂聴さんや三島由紀夫などと親交があり、三島事件が起きたときはタクシーで現場となった防衛庁へとかけつけた。作家から政界に転身するも在職25年を機に、議員辞職し、1999年には都知事となった。
問題発言が多く毀誉褒貶あった人だが、作家としての感性は生涯失わず、傾聴に値する発言を続けた。
■田中康夫知事と石原知事の時代
石原さんが知事となった翌年に、同じ作家の田中康夫氏が長野県知事選挙へ出馬を表明した。いわゆる「三国人」発言を田中氏は厳しく批判するなど石原さんの政治姿勢には批判的だったが、文芸評論家の江藤淳が亡くなったときは共に棺を持った。
長野県知事選で、誰もが田中氏が勝利しようなどと予想しない中、記者に見解を問われた石原さんは「田中君が勝ちますよ。もう副知事が次の知事になるような時代じゃないんだ」と喝破。
田中氏が当選するや「だから、言ったろ。僕は田中君が勝つって」とコメントしたのが忘れられない。時代の先を読む先見性を見せつけた。