掃除機ロボット開発者の逆転人生 口座残高700円で子供の学費も払えない過去も

一度は挫折を味わったシンガポールの起業家が、ロボット掃除機ビジネスで大成功。「失敗に恐怖は付き物」と語り…。

2022/01/02 05:30

ロボット掃除機

シンガポールのある男性にとって、人生の一大ターニングポイントとなった「掃除機ロボット」の成功。どん底と言うべき苦しかった人生から有名起業家となるまでの這い上がりが、あまりにも見事だと注目を集めている。『AsiaOne』が報じた。


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■4,600万円投資するも…

男性は、シンガポールに住む起業家のジョナサン・クエックさん(47)。2015年に心理カウンセラーだった妻のヴァイオレットさん(50)とともに、オンライン教材の開発と販売に約4,600万円も投資した。

新型コロナの影響もあり、今でこそオンライン教材の需要は伸びているが、その頃にはまだ人気がなく事業は失敗。

当時を振り返り、夫妻は「共働きの親たちが増え、仕事で疲れて帰宅し、その後に子供のオンライン学習に付き合うほど体力も気力もない。この現状に気付かなかったのです」と語っている。

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■学費も払えなくなる

夫婦には14歳と11歳になる2人の娘がいるが、やがて預貯金は底をつき、ついに銀行口座の残高は700円ほどに。小学校の費用も払えなくなり、教育省から支払いの督促状を受け取ったジョナサンさんは、「情けなくて涙が止まらなかった」という。

その後、仕事を探すも40歳になっていた彼を雇ってくれる会社には出会えず、次第にうつ病を患うように。寝室に引きこもり、一日中家族とも話をせず、食欲のない日が半年間も続いたそうだ。

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■クリーニング会社を設立

ジョナサンさんに代わり、仕事をして家計を支えていた妻のヴァイオレットさんも「父親と母親の二役をこなし、私ももう限界でした。『仕事を探して』と夫にお願いしても、怒るばかりで」と、当時の苦労をメディアに語っている。

ジョナサンさんはやっと精神科に通うようになり、6ヶ月間カウンセリングを受けているうちに、再び仕事をする意欲が沸いてきたそうだ。両親も投資に協力してくれたことで、2016年にクリーニング会社『Globotix』を設立した。


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■チャンギ国際空港へ提供

ジョナサンさんは以前、施設管理に携わった経験があり、大変な肉体労働で体を壊す人も多く、クリーナー業の離職率が高いことを知っていた。そこで彼は、殆どの人が着目していない「掃除機ロボット」の開発に挑んでみたという。

新卒のカナダ人2人が設立したスタートアップ企業と提携し、ついに掃除機は完成。必死な営業活動の末、東南アジア最大のハブ空港であるシンガポール・チャンギ国際空港との契約にこぎつけ、22台もの掃除機ロボットの納入に成功した。


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■1台900万円も売上好調

1台あたり900万円以上もする掃除機ロボット『Globotix』だが、チャンギ空港での展開が成功すると、世界の他の空港からも注目が集まり、契約数は急激な右肩上がりとなった。

現在は18人の従業員を抱える企業のトップとして、シンガポールでも有名な起業家の一人となったジョナサンさん。

オンライン教材開発の失敗から学んだ教訓については、「辛抱強く耐え抜くこと。失敗に恐怖は付き物で、2歩進んで1歩後退することもありますが、歯を食いしばって前進するのみです」と話している。

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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ

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