リサイクルが縁で北海道の運送会社がカシューナッツ栽培 ふるさと納税でも人気に
家財類の不用品輸出が縁で、北海道の運送会社がカンボジアでナッツ栽培加工の新規事業に進出。
「もったいない、まだ使えるのに」。引っ越し運送の過程で大量排出され、廃棄物処理場行きとなる家財の山。
東南アジアのカンボジアに、これら無用物をリサイクル品として輸出したことが縁結びとなり、同国産カシューナッツの加工販売に乗りだした中堅の運送会社がある。
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■「もったいない」のご縁で
北海道苫小牧市の「萠(もえ)運輸」(近澤洋太社長/資本金1,500万円/従業員数26人)。ブランド名は「モエ・カシュ―」。事業はまだスタート段階だが、ヘルシーフード志向を背景に道内と首都圏で30~60代の女性層を中心に静かなブームを呼んでいる。
「引っ越し作業で生じた家庭の不用品をASEAN諸国に送りませんか?」苫小牧市の本社事務所に2011年12月、東京のコンサルタント関係の研究会からダイレクトメールが届いた。
候補国として推薦されたのは、東南アジアのカンボジア王国。貧しい農村部など、消費大国・ニッポンで排出される「真新しい不用品」は、大人気だという。
■異業種進出の背景
引っ越し作業の際、生じる食器、衣類、布団、時計、電化製品、ベッド、ソファー…「どれもこれもまだ長く使えるのに」。引っ越し作業の際、近澤社長はリサイクル店でも受け付けられず、廃棄物場に大量投棄される家財道具の現状に、心を痛めてきた。
「貧困で家具を買えないカンボジア人のために」。リサイクル品としての輸出を即断し、2017年7月、首都プノンペンにリサイクルショップを開店。
店のマネージャーの知人で農地を所有する顧客からたまたま「農作の売り地を見学しませんか?」と農業参画を誘われのが、カシューナッツ事業進出へのきっかけとなった。