FFCヘビー級元王者F・シニストラ選手 ワクチン拒否の末41歳でコロナ死
ワクチン反対派だった格闘家。「俺の死がきっかけで打つ人が増えるのは嫌だ」と話していたという。
健康で強靭な肉体を誇っていたベルギーの格闘家が、新型コロナウイルスとの闘いに敗れ、41歳の若さで死亡したことを『Mirror』『Fox Sports』ほか欧米のメディアが報じた。ワクチン反対派だったといい、治療中に見せた不屈の精神も話題になっている。
■ワクチン反対派だった
新型コロナウイルスによる肺炎が重症化して帰らぬ人となったのは、総合格闘技団体FFCのヘビー級選手として活躍し、3度も王者の座に輝いていたベルギー国籍のフレデリック・シニストラさん(41)。キックボクシングにおいては39勝9敗の記録を持っている。
シニストラさんは新型コロナウイルス・ワクチン反対派で、接種をかたくなに拒みながら12月4日の試合に向け、調整に入っていたという。
■当初は入院も拒否
そんな中、シニストラさんは11月にコロナに感染し、症状がどんどん深刻化した。
「ちっぽけなウイルスに負けるわけがない」と豪語するも、コーチのオスマン・イギンさん(50)の命令で、しぶしぶリエージュ州の病院に入院。治療により症状がやや回復すると、自らの強い希望で退院した。
その後は、ナミュール州シネイにある自宅で在宅酸素療法を続けていたが、合併症の肺炎が再び悪化。再入院を拒むなか12月13日には意識不明に。16日、愛する子供たちや愛犬がいる自宅で天に召されたことを、妻がFacebookやインスタグラムで明らかにした。
■「男らしい死に方をする」
病院の集中治療室からも、呼吸に苦しむ自身の様子や治療についてなど、37,000人を超えるフォロワーに向け、SNSで情報を発信していたシニストラさん。
「未熟児として生まれながら、自分はここまで強くなったんだ」「体の炎症を示すCRPの値が、健康なら5以下なのに俺は165もあるらしい」「俺は男らしい死に方をする。その日まで闘い続ける」などと不屈の精神や生への強い希望をつづっているが、ワクチンに関しては相変わらず否定的だった。
■ワクチン拒否を後悔せず
シニストラさんの妻は彼の死後、インスタグラムに「皆さんの温かいサポート、励ましの言葉に夫と私は心から感謝しております」としながらも、「自分の死がきっかけで、やっぱりワクチン接種を受けようと考えを改める人が現れることを、夫は恐れていました」とつづっている。
ワクチン拒否がたたって感染後に重症化し、死を予感した際に「あのとき打ってもらっていれば」と強い後悔を口にする人は多い。最後までワクチン拒否の信念を貫いていたシニストラさんは、きわめて珍しい例と言えそうだ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)