小児向けピーナツアレルギー治療薬『Palforzia』 米国に続き英国でも承認見込み

11段階に色分けされたカプセルにより、薬の成分量を数ヶ月間かけ少しずつ増量していくという。

ナッツ・アレルギー

世界の多くの人が悩んでいるというピーナツアレルギー。日本では豆腐、佃煮、和菓子、ときにはカレーのルウにも含まれることがあり、外食時の不安のひとつにもなっている。

そんな中、アメリカで承認された小児ピーナツアレルギー患者の経口減感作治療薬について、ヨーロッパでも治験が順調で、イギリスも承認が間近だと『Mail Online』が伝えた。


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■米国食品医薬品局は承認済み

ピーナツアレルギーは、ほんの微量でも、ひとたび摂取すればアナフィラキシーショックを起こすなど、重症患者が多いことで知られている。

アメリカでは、ピーナツアレルギー患者500人を対象にした約6ヶ月間のプラセボ対照二重盲検試験による治験の結果を評価して、食品医薬品局(FDA)は2020年1月、カリフォルニア州に本社を置くエイミューン・セラピューティクス社の小児(4~17歳)向け経口減感作治療薬『Palforzia』を承認していた。

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■欧州でも治験は順調

そのPalforziaが現在、イギリスをはじめヨーロッパでも治験が進んでいる。このまま順調にいけば、イギリスでは英国立医療技術評価機構(NICE)が使用上のガイドラインを策定し、来年2月に発表する予定だという。

続いては国民保健サービス(NHS)が臨床上の評価について監視し、お墨付きを得られれば、一般的な医療現場でも保険適用の対象として広く使用されることになる。しかしそれを待たずに使用する患者においては、年間の負担額が日本円で122万円ほどになるそうだ。

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■投与の方法は?

カプセルは薬の成分量により11段階に色分けされており、医師は定められたガイドラインに従いながら処方。数ヶ月間かけ成分量の増量を試みていき、最終的には個包装の薬による維持療法に移行する。

副作用としては、腹痛、嘔吐、悪心、口腔違和感、口および耳のかゆみ、鼻水、咽喉の刺激感、じんましん、喘鳴、息切れ、アナフィラキシーが報告されているそうだ。

なお、Palforziaはアレルギー症状が出た場合の緊急治療薬ではないこと、自己判断での増減は禁じられていること、そして服用期間にもピーナツを避ける必要があることを、患者は正しく理解する必要があるという。


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■新説も挑戦はなかなか…

イギリスでは「アレルギー体質を思わせる敏感な赤ちゃんに、生後3ヶ月以内にピーナツバターを与えるとアレルギー発症リスクが半減する」という研究論文も発表され、話題になったことがある。だが「実践にはかなりの勇気がいる」という声も多かったようだ。

なお、ピーナアレルギー患者の4割ほどが、他の種類のナッツにも反応が出るようになるとの報告もある。1日も早い克服が望ましいとして、一部の専門施設が全額自己負担で舌下免疫療法や経口減感作療法を行っている国は多い。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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