一番おいしい旬に最も売れない牛乳 生乳廃棄危機も「バターにする」は難しいが…
年末年始に5,000トンが廃棄処分されるという生乳。乳脂肪分が最も高くなる時期なのだが…。
「年末年始に5,000トンの生乳が廃棄される」という話題が波紋を拡げている。生産者やメーカーなどがつくる一般社団法人Jミルクは公式サイトで、「大切なお願い」というメッセージを公開。
年末年始に発生する処理不可能乳(いわゆる「廃棄」)は約5,000トンにのぼるという試算を発表した。金子原二郎農水相は、14日の会見で、消費拡大のためのプロモーションなどに取り組む意向を明らかにしている。
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■ヨーグルトは賞味期限が長い
岩手県西和賀町で湯田牛乳公社に勤務するかたわら、来年1月に盛岡で開催される『第3回ヨーグルトサミット in いわて』で事務局を勤める小林冬樹さんは、生乳の消費拡大についてヨーグルトの可能性に期待を込める。
「牛乳の賞味期限は製造日プラス1週間ほど。しかし、乳酸菌で発酵させたヨーグルトは、弊社の場合ですと賞味期限が20日間。2〜3週間ほどの商品が多いです」
賞味期限が短いと流通できるエリアも限られるが、2〜3週間あればネット通販や大都市圏への商流にも乗せやすい。
■牛乳とヨーグルトは乳価が同じ
生乳の廃棄が報じられる際にしばしば耳にするのは、「よく足りないと言われるバターやチーズに加工すればいいのに」という声。しかし、バターやチーズに加工するための生乳は乳価が安く、酪農家の経営を圧迫することになる。
しかし、「じつは、ヨーグルトと牛乳は乳価が同じなんです」と小林さん。
また、乳価の問題以上にバターやチーズへの転用が難しいのは、「製造過程で出る脱脂乳などをどう処理するか」という課題だが、これも生乳を使ったヨーグルトの場合は発生しにくい。