精神疾患ある母親に「病弱な子」にされた女性 苦悩の幼少期を記した本が話題

すべては母親が原因だったと理解できたが、幼少期の貴重な日々はもう戻ってこない。

2021/11/26 19:30

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病弱な子供だとして周囲をひたすら心配させ、幼稚園でも学校でも楽しい思い出がほとんど作れなかった女性。すべての原因は、「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患を持つ母親のせいだったという。

この女性が苦悩に満ちた幼少期について著書にまとめ、高い関心を集めていることを、『Daily Nation Today』『The Sun』などの海外メディアが報じている。


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■「原因不明で治療法もない」

イギリス・ノッティンガム出身の作家であるヘレン・ネイラーさん(38)は、『My Mother, Munchausen’s and Me: A true story of betrayal and a shocking family secret』という著書の中で、幼い頃はあまりにも病弱だとして、自宅のベッドに寝かせられっぱなしだったことを告白した。

7歳になると、母親のエリノーさんから「あなたは筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群という病気。強い疲労感、脱力、関節痛、発熱、腹痛や下痢、体温調節機能の異常で衰弱していく原因不明の病気なの。治療法もないわ」と説明された。

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■母親の日記で知った事実

検査に薬にと医療費もかさみ、げっそりと痩せた姿を実の父親に「なんという醜さ。さっさと死ぬんだな」とまで言われていたヘレンさん。しかし「私は本当にそんなに具合が悪いのかしら」と、どこか納得できずにいたという。

そして5年前、母親は感染症により69歳で死亡。ヘレンさんは2年前に彼女の日記を見る機会があり、30年にもわたった疑問はやっと解決された。

エリノーさんは「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患を患っていた。これはわが子を意図的に「病弱な子」にし、あるいは傷つけ、優しく看病する姿で同情やねぎらいの声を集めようとする親のことだという。

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■人の目がないと変わる母親

ヘレンさんは母親のかつての姿を思い出すたびに、不快な気分になる。幼いわが子を心配し、優しく看病してくれるかと思うと、誰も見ていない場所や知っている人がいない場所では冷たい態度をとり、「眠れない」と言えばウイスキーを飲まさせられたのだ。

そんなヘレンさんは成長して19歳になると、未来の夫となるピーターさんに出会い、家を出ることを決意。結婚後は、息子のベイリーくん(10)と娘のブロッサムちゃん(8)に恵まれた。


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■パーソナリティ障害も疑う

しかし、エリノーさんは娘の結婚も孫の誕生も喜ばなかった。常に注目の的となる人気者の孫たちが憎いのか、「私は具合が悪いのよ」と訴えては看病を要求。パーキンソン病だと主張し、検査を受けてそれが否定されると、なぜか不満をあらわにしたという。

晩年の母親は娘を「不吉な死神」と呼び、孫を「デブ」と呼ぶなど、言葉による虐待や攻撃が絶えなかった。ヘレンさんはあるとき自己愛性パーソナリティ障害というものを知り、母親の虚言癖、演技、わがままな態度に一致する点が多く驚いたそうだ。


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■取り戻せない日々

幼稚園や学校で友達と一緒に笑い、元気よく遊び、楽しい思い出を作りたかったというヘレンさん。すべては母親の精神疾患のせいだったが、その貴重な日々はもう戻ってこない。そう思うと、心にぽっかりと穴が開いてしまった。

しかし周囲の勧めもあって、彼女は本の出版を決意した。思いのひとつひとつを文字にすることで苦しみ、怒りやいら立ちの感情が徐々に薄れていくことを実感しているという。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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