神戸の女子トイレ、個室に意味深なメッセージが…  「全国で置いてほしい」と話題

神戸市の女子トイレにて、何やら変わったトイレットペーパーを発見。その内容に、感動の声が相次いでいるのだ。

個室のトイレを使用する際、ほぼ間違いなくチェックするのがトイレットペーパー。

現在ツイッター上では、兵庫県神戸市の女子トイレ内で発見されたトイレットペーパーに、称賛の声が多数寄せられているのをご存知だろうか。

【話題のツイート】明らかに変わったトイレットペーパーが…


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■意味深なメッセージと番号が

注目を集めているのは、ツイッターユーザー・ohirune_sakk0さんが投稿した一件のツイート。

トイレットペーパー

「今日ショッピングモールのお手洗いに入ったらトイレットペーパーがこれやったんやけど、すごい名案じゃない?!」とつづられたツイートには、薄ピンクの文字とイラストがプリントされたトイレットペーパーの写真が添えられており、こちらには「いつもメールをチェックされる。そんなのしんどくない?」「彼といるとビクビクする。本当にそれって『愛』なのかな」といった意味深なフレーズが確認できる。

さらに、そうしたフレーズの下には「神戸市配偶者暴力支援センター 女性のためのDV相談室」という施設の電話番号がプリントされていたのだった。

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■「全国に広がれば良いな」と反響

ここ日本でも「DV」の略称で知られるドメスティック・バイオレンスだが、その被害者の多くは自身の境遇を打ち明けることに苦悩しており、そもそも「DVの被害を受けている」という意識がないケースも珍しくない。

しかし、ohirune_sakk0さんもツイート本文にて「DV受けてる人が一人になれるところってお手洗いくらいしかなさそうだし、スマホで検索なんかしてたらチェックされてさらにDV受けそうだし。これで救われる人がいますように…」とつづっているように、トイレの個室というのは周囲から隔離され、自分自身と向き合うのにうってつけなスペースである。

トイレットペーパー

同ツイートは投稿からわずか数日で3万件以上ものRTを記録しており、他のユーザーからは「すごく良いアイデア! まずはDVなんだと気づいて、自分を大切にしてほしい。全国に広がれば良いな」「素晴らしいアイデアだと思います」「ほっとするトイレに入って、読んだときのドキッと感はなかなか刺さるかもしれない!」といった反響の声が多数上寄せられていた。

そこで記者は今回、件のトイレットペーパーに記載されていた機関にアプローチしてみることに。すると「神戸市こども家庭局 家庭支援課」の相談支援担当者が、こちらの取り組みに関する感動的な舞台裏を明かしてくれたのだ。

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■「設置の理由」に納得と共に感動…!

まず、ツイート投稿主であるohirune_sakk0さんに発見時の様子を聞くと、こちらのトイレットペーパーは兵庫県神戸市の某ショッピングモール内の女子トイレにて見つけたものであると判明。

ohirune_sakk0さんは発見時の感想について、「今までにない斬新な広告だなと思いました。子供と一緒に個室に入ったのですが、子供がすぐに見つけたくらいですので、誰の目にも止まるだろうと」「設置場所、書いてある内容など、伝えたい人に伝わるものになっており、これは良い取り組みだなと感じました」と、振り返っている。

トイレットペーパー

神戸市のねらいも、まさにそこにあるようで、相談支援担当者は「神戸市では毎年11月に、女性に対する暴力をなくす運動(パープルリボンキャンペーン)として、DV防止のための啓発活動を行なっています」「平成29年度より、トイレの個室という加害者の目の届かないところで広く広報啓発を行なうことを目的として、DV防止啓発のためのトイレットペーパーの設置を始めました」と、設置までの経緯を説明してくれた。

前述の通りDV被害者の中には「自分がDVを受けている」という自覚がないまま、我慢して苦しんでいる人々もいるため、件のトイレットペーパーには「そうした人々にDVのことに気付いてもらい、専門機関に相談する勇気を持ってもらいたい」という思いが込められているのだ。

トイレットペーパー

なお今年は大丸神戸店、ダイエー神戸三宮店、イオンスタイル神戸南店、イオンスタイルumie店にて設置されていたという。


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■日本のDVの現状に驚き…

続いては、神戸市の今回の取り組みが、どれだけ重大なものであるかを考えてみたい。

内閣府男女共同参画局の発表によると、パートナーのいる人物の約4人に1人は「配偶者から暴力を受けたことがある」と回答しており、中でも女性は約10人に1人が「何度も受けている」と回答していることが判明。DVには様々な種類があるが、「身体的暴行」「心理的攻撃」「経済的圧迫」「性的強要」のいずれの行為でも、女性の方が被害経験者の割合が高いのが現状だ。

また、男女共にそうした被害を受けている人物が、そうした被害状況を周囲に相談しなかった理由に関しては、「相談するほどのことでは無いと思ったから」が最も多く、男性は過半数、女性も半数近くがそう回答している。

トイレットペーパー

こうした背景を鑑みると、「トイレの個室」という一人きりになれる空間に件のトイレットペーパーを設置することが、どれだけ大きな意味を持ってくるかが感じられてくることだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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