地球の自転速度が遅くなり始めた? 史上初「負のうるう秒」追加が起こるのか
「うるう秒」の追加は、地球の自転速度に合わせてこれまで27回も行われてきていた。
地球の自転速度が速くなったことで、時刻の調整も検討されていた2020年から一転し、今年に入り自転速度が落ちたため科学者たちが困惑しているという。『Daily Star UK』『Daily Express UK』など海外メディアが報じている。
■自転速度は日々変化
地球の自転速度は、地球の核、大洋、大気などの動向の影響を受けることで、常時ほんの少しずつ変化している。
大きな地震により地球の質量の分布に変化が生じることで速くなり、グリーンランド氷床の大規模融解によりとけた水が極点から離れていくことで遅くなるなど、さまざまな要因が影響を及ぼしている可能性があるそうだ。
しかし、昨年に引き続き今年前半も自転速度が速まる傾向が続いていたなか、ここにきて突如ゆっくりと回転するようになっており、この突然の変化に科学者たちは困惑しているという。
■原子時と自転
今日では、原子時計に基づいた協定世界時(UTC)を使用している。絶対零度まで冷却された原子の電子の動きを観察することによって、究極的に正確な時間を維持することができるのである。
この原子時と地球の自転の間に差異が生じた時、科学者たちが「うるう秒」を足すことで、調整を行ってきたのだ。
■これまでに27秒追加
天体物理学者のグラハム・ジョーンズ氏は「1972年にうるう秒が導入されて以来、地球の自転は少しずつ遅れてきており、ここまで合計で27回うるう秒が追加されてきている」と今年初めの取材で答えている。また、うるう秒の追加は、これまで平均で18ヶ月ごとに実施されてきたそうだ。
最後にうるう秒を用いた調整が行われたのは、日本時間では2017年1月1日。午後8時59分59秒と9時00分00秒の間に1秒挿入され、いつもより1秒長い正月となった。
■長期的な予測は困難
2020年の地球の自転スピードに比べれば、今年は落ちているものの、それでも平均以上の速さだ。そのため、今後10年の間に史上初の「負のうるう秒」追加(1秒マイナス)が待っているかもしれないと、科学者たちは予測している。
しかしながら、アメリカ海軍天文台の天文学者ニック・スタマタコス氏によれば、「内部調査で次の1~2年先をモデリングしてみたが、6ヶ月から1年をこえて予測をしようとすると問題にぶち当たり、見通すことが難しい」という。
現在でも、地球の自転速度に長期的な変化をもたらす原因はわかっていないそうだ。
・合わせて読みたい→「最も背が高い女性」でギネス認定の女性 希少疾患の人々の希望の星に
(文/Sirabee 編集部・原田パラン)