実物そっくりの超絶技巧 陶器でできたカニの関節が全て動く秘密は…

作品を制作する際には、実物をスーパーやペットショップから購入し、細部を確認しながら進めていくという。

明治の日本では、主に海外輸出向けとして、超絶技巧の陶器が数多く製作された。作品が重要文化財にも指定された陶芸家、初代・宮川香山なども知られている。

そんな超絶技巧もかくやという、まるで生きているようなカニを陶器で作り上げる作家が話題を呼んでいる。

【画像】青い釉薬も美しい陶器のワタリガニ


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■小さい頃から昆虫好き

作者の岡村悠紀さんは、小さい頃から昆虫好きで、出身地の山形県の水辺などで昆虫採取をよく行っていたという。「いつか生きものをモチーフに表現したい」という想いを持ちながら、東北芸術工科大学に進学。

ここで陶芸の基礎を学び、卒業制作ではカニの試作品に取り組んだ。

カニの陶器

卒業後は、観光地での陶芸インストラクターを経験し、修学旅行生や観光客と一緒に陶芸に向き合った。その後出身地に戻り、住み込みで陶芸家に弟子入り。

そこでは、陶器製の大きなバスタブづくりを学んだ。温泉旅館などに設置されているものだが、窯(かま)に入れる際にはフォークリフトを使うそうだ。

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■実物を購入し作品づくり

5年間の弟子生活を経て、会社員も経験。自宅を工房代わりにし、窯があるホームセンターを見つけて、作品づくりを続けた。2019年には自宅に小さな窯を購入し、2020年6月に会社を退職した後にプロデビュー。

カニの陶器

現在までにタラバガニやワタリガニ、オカヤドカリなどを制作し、すでに2回の個展を開いている。作品を制作する際には、実物をスーパーやペットショップから購入し、細部を確認しながら進めていくという。

「写真だとどうしても見えない部分が出てしまうため、実物を手元に置いて作業する」と話す。

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■関節が動く訳