自宅に鎖で監禁された20代女性を保護 両親は「精神疾患で攻撃的になり仕方なく」
精神疾患を抱えた家族と暮らし、周囲から孤立しがちな家庭がある。行政に相談し、サービスを頼ってほしいという。
インドで16日、民家の狭い一室に長期にわたり監禁されていた若い女性が保護された。両親は精神疾患を理由にあげているが、行政になぜ相談しなかったのか、それが大きな問題だという。『Times Now News』『Times of India』などが報じている。
■鎖でつなぎ監禁
事件は、グジャラート州ダーホード県のボルディ・イナミという村から伝えられた。鎖でつながれ、狭い部屋に監禁されていた女性は25歳。プライバシーを重んじ、氏名は明らかにされていない。
当局の事情聴取に対し、女性の両親は「精神疾患のせいで娘は家出を繰り返し、年齢が上がるにつれ、通行人に石を投げつけるなど攻撃性も出てきた。本人、家族、町内のいずれにとっても、閉じ込めておくことが一番安全だった」などと主張しているという。
■入居型の福祉施設へ
インド・女性子供開発省の「ワンストップ・センター(One Stop Centre)」の職員に鎖を外された女性は、両親の承諾を得て、ダーホード県の「マヒラ・アシュラム」という入所型の福祉授産施設へと送られた。
そこには何らかの理由で教育を受けられない少女や、保護が必要な成人女性が多数暮らしており、この女性も精神疾患の正しい治療を受けつつ、仕事に就くための技能を身につけることになるという。
■行政サービスの利用を
日本の精神保健福祉法は、精神疾患のために自傷あるいは他人に危害を及ぼすような行為があり、家族で手に負えない患者については警察官が「保護」すると定めている。それは逮捕ではない。
その後、多くは精神保健福祉当局の指示により医療保護入院の形がとられるといい、家族は臆することなく行政サービスを利用するべきだという。
また、患者の監禁を考えてしまうような家庭は、日頃から孤立感に苦しんでいることがほとんどだという。近隣住民など周囲の理解がいかに大切か、考えさせられる事件は多いようだ。
■世界の数十万人が監禁の被害に
世界精神保健連盟(World Federation for Mental Health)は、毎年10月10日を「世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)」と定めている。
精神疾患によって身体の拘束や監禁がなされている小児や成人が、世界には数十万人いるとみられているが、じつは新型コロナウイルスの影響を大きく受けているという。
通院が困難で投薬治療が中断し、乱暴な行動が出てきたため監禁してしまうケース。そして、新型コロナウイルスで入院となれば一大事だとして、決して感染させないよう隔離を考えるケースも多いという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)