先天性欠損症の新生児の写真でアクセス数稼ぎ 無断公開した看護師に家族が激怒

痛ましい姿で誕生した赤ちゃんの写真で、関心を集めようとする残酷さ。そこに良心や良識は感じられない。

2021/10/06 19:30

医師・医者・看護師・スマホ・スマートフォン

五体満足で誕生するようどんなに祈っても、先天性欠損症を伴って誕生する赤ちゃんがいる。多難ななかで手術を乗り越え、幸せな人生をと願うばかりだ。だが世の中には、その衝撃的な写真を「見て!」とばかりネットで拡散し、ページのアクセス数を稼ごうという邪な考え方をする人も…。

このほどアメリカで、そんな女が赤ちゃんの家族や世間の激しい怒りを買った。『NEW YORK POST』『WSVN 7 News』などが報じている。


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■新生児集中治療室に勤務

問題が発覚して解雇されたのは、フロリダ州マイアミにあるジャクソン記念病院の看護師シエラ・サミュエルズ。新生児集中治療室に2016年から勤務していた。

その病院で少し前、極めて珍しい先天性欠損症の「腹壁破裂(腹壁欠損症)」を伴った赤ちゃんが誕生。すると9月上旬、サミュエルズはその写真を600人のフォロワーがいる自身のインスタグラムに、無断で投稿した。

衝撃的な写真は大変なアクセス数を稼ぎ、あっという間に拡散したという。

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■腹壁破裂とは

腹壁破裂で生まれた赤ちゃんは、へその緒近くの腹壁に開いた穴から小腸・胃・結腸・肝臓といった臓器の一部が飛び出してしまう。出生件数5,000~1万に1件ほどの割合で起き、遺伝性の疾患ではない。

原因は、胎生3~4週頃の腹壁形成の時期になんらかの異常が起きるためと考えられており、赤ちゃんの母親をはじめ、多くの家族に強いショックを与える病状だという。

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■写真はSNSで拡散

腹壁破裂の痛ましい写真2枚がSNSに流出し、興味本位の人たちの関心を集め、さらに拡散していることを知り、赤ちゃんの家族は激怒。病院を正式に告発した。

プライバシーの侵害、肖像権の侵害、医療従事者の信頼を失墜させたことの罪は深く、調査の末に病院は正式にサミュエルズを解雇している。


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■「良識を疑う」と弁護士

家族が病院に、腹壁破裂の研究に協力する目的で写真撮影を許可していた場合、そこには著作権(者)の問題もある。

マイアミ在住の弁護士、デヴィッド・ワインスタイン氏は「著作権がある画像が勝手に使用されることは許されず、病室で無断に撮影されればプライバシーの侵害です。とにかく良識を疑います」などと徹底批判している。

撮影の許可も著作権者の許可もとらず、赤ちゃんのショッキングな写真で人々の関心や興味を集めようとしたサミュエルズ。その邪な考えと残酷さは今、多くの人のバッシングにさらされている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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