10代被告が拘置所で医療支援なく死産 冷酷な刑務官らに法のメス入るか
今年8月にイギリスの司法大臣に任命されたドミニク・ラーブ氏が、問題の解決に向け立ち上がった。
拘置所や刑務所でも、緊急の医療支援が必要となるような事態は起きる。そのときは職員が正しく判断し、的確に動いてくれることを期待するしかない。
イギリスのある拘置所で少し前に起きた悲しい出来事について、いよいよ法のメスが入る可能性が出てきたことを、現地メディアの『The Sun』などが報じている。
■何度ベルを鳴らしても無視
ロンドン・ヒースロー国際空港の南に位置し、成人・若年女性の受刑、拘留、勾留の対象者を収監している非常に大型のブロンズフィールド刑務所。
ここに2019年9月、強盗事件に関する裁判の判決を待つ18歳の被告が送られてきた。彼女は妊娠末期で、ある日、陣痛が始まってから約12時間後の深夜2時に独房で出産した。
被告が急用を知らせるベルを何度鳴らしても無視されたことは、隣の独房に収監されていた2名が証言している。
■へその緒を歯で噛み切る
あまりにも冷酷なその状況で、被告は非常に弱々しい呼吸の赤ちゃんを抱きしめ、一晩中泣きじゃくっていたという。
巡回する警備員が異変に気付き、タオルで包まれていた赤ちゃんを医務室に運んだが、ハサミがないため歯で嚙み切ったというへその緒は結び目が緩く、肌の色はすでに紫色だった。
罪もない赤ちゃんが死亡したのは、刑務官たちの非人道的な対応のせいだと報じるメディアもあったが、結局は被告の泣き寝入りで終わっていた。
■第三者委員は事態を問題視
しかし、オンブズマン制度のもと、同刑務所から第三者委員として任命されていたスー・マカリスターさんは、その女性が収監の際に妊娠を告げていたことを重要視。人権軽視の問題が存在すると捉えていた。
「生まれた赤ちゃんの世話はどうなるのか。連れ去られるなら私は死んでしまう」と被告は看護師に尋ねていたこともわかり、多くの職員が彼女の妊娠を把握していながら医療支援を無視した、その責任は重いと指摘していたのだ。
■新・司法大臣が立ち上がる
そして今年8月、副首相および司法大臣に任命されたドミニク・ラーブ氏が立ち上がった。
「あの悲劇を容認することはできない。妊娠中の女性や子供の命は守られるべきだ」と発言し、当時の状況について再調査を行うことを発表。法のメスが入るものか、人権擁護活動家たちの注目が集まっている。
なお、ブロンズフィールド刑務所のヴィッキー・ロビンソン所長は「親子に対し心からお詫びを申し上げ、再発防止に全力を尽くします」と述べている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)