経鼻チューブを肺に誤挿入するミス発生 長年医療に貢献した救急隊員が死亡
定年を超えても人の命を救ってきた女性が、報われない死を迎えてしまった。
救急隊員として、長年勤務した女性が死亡した。定年を超えてもなお世のため人のため医療に尽くしてきたにもかかわらず、自分が診てもらう時が訪れると、医療過誤によって死亡させられてしまったのだ。『Mirror』など海外メディアが報じている。
■ミスに次ぐミス
イギリス・ロンドン南東部出身のマウラ・アーウィンさん(77)は、NHS(National Health Service=国民保健サービス)の救急隊員として25年間働いてきた。
そんなマウラさんが2008年2月、脳卒中の発作を起こして病院に搬送。その2日後、経鼻栄養チューブを挿入された際、誤ってチューブが肺に誤挿入され、10時間以上その状態で放置されてしまう事故が起きた。そしてその3週間後に、マウラさんは息を引き取った。
■医療過誤による死
検視官の発表によれば、体内の酸素量が下がった状態が2度検知されたのにも関わらず、チューブの位置の確認やアセスメントが適宜行われなかったことが、マウラさんの死につながったとされた。
マウラさんの娘キャサリン・スカリーさんは、「経鼻栄養チューブを誤挿入され、肺が栄養剤で埋め尽くされたため呼吸ができなくなり、母は溺れるような苦しみの中で亡くなりました」「家族は、ゆっくりと耐えがたい苦しみの中で母が死んでいくのを、見ているしかなかった」と、苦しい胸のうちを語った。
■「謝罪でなく具体策を」
NHSは遺族に謝罪し、マウラさんの死によって定められた18の改善事項が提示。
しかしキャサリンさんは「謝罪は聞きあきました。行動を伴わない謝罪には何の意味もありません」「今回起きたことが二度と誰の身にも起きないように取った、具体的な対策が知りたいのです」と、憤るとともに引き続きの回答を要求している。
同じ苦しみを味わいながら亡くなる人がいないという確証が得られ、母親の死は無駄ではなかったと思えてこそ、遺族は前に進むことができるのかもしれない。
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(文/しらべぇ編集部・原田パラン)