1台の携帯電話を家族で共用 なかなか使わせてもらえず激怒の16歳娘が自殺
家を飛び出した娘が向かった先は薬局。目的はなんと毒物である殺鼠剤の購入だった。
携帯電話は一家に1台のみで、10代を過ぎた子供たちが競い合いながら順番にそれを使用する、などという状況を想像したことがあるだろうか。非常に高価な携帯電話ゆえ、広いこの世界、そうした環境で使用している人々はゴマンといる。
また、それゆえのきょうだいげんかも多々起きているようだ。インドで起きた悲劇の話題を、『Free Press Journal』『Times Now News』などの海外メディアが報じている。
■携帯電話を使えず絶望
10日夜、インド・マハラシュトラ州ムンバイのサマータ・ナガーのジャヌパーダ地区に暮らす一家において、携帯電話を使用する順番を争うがゆえの悲劇が起きた。
親が所有する1台の携帯電話をめぐり、子供たちによる奪い合いは日常的に起きていたという。そしてなかなか使用させてもらえないことに激怒し、絶望した16歳の娘が服毒自殺により死亡したのだ。
■使用目的はともにゲーム
その日、娘は弟のひとりと「どちらが先に携帯電話を使うか」で大げんかになっていた。2人とも使用したい目的はゲーム。いったん使い始めるとかなり長引くこともあって、双方とも決して譲ろうとはしなかった。
大げんかの末、弟が先に携帯電話を使用することが決まると、娘は激怒しながら家を出たという。
■「まさか死を選ぶとは…」
娘が向かった先は薬局だった。毒物である殺鼠剤(さっそざい)を購入し、自宅に持ち帰ると弟の目の前で飲み干し、悶絶して倒れたという。
娘はただちに病院に搬送されたが、なす術もなく翌朝に死亡。両親はサマータ・ナガー警察の聞き取りに、「娘は感情の起伏が激しく、たびたび兄弟と衝突していました。キレやすい子でしたが、まさか死を選ぶとは思わなかった」と話したという。
■弟のショックは大きく…
あるデータによれば、インドの携帯電話の普及率は80%超(日本は140%超)とのこと。大変高価なものであるため、両親で1台を所有し、空いていれば子供たちにも使わせるという方法を採る家庭も少なくないという。
一家は深い悲しみに打ちひしがれているが、服毒自殺というむごたらしい方法に、携帯電話をめぐり直前に激しく言い争っていた弟が特に強いショックを受けている模様だ。
・合わせて読みたい→携帯電話の充電器で2歳女児が感電死 日本の電圧は世界で低い100ボルトだが…
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)