50年ぶりに見た互いの顔にダメ出し? 強度弱視だった老夫婦が最先端手術に成功
眼帯を外して開口一番、互いにダメ出ししてしまった夫妻だが、心は常に理解し合っているという。
若い頃から強い弱視に苦しみ、互いを支え合うようにして、長年にわたり仲良く暮らしてきた1組の老夫婦。医療技術の進歩を頼りに、夢だった手術をそろって受けたという。彼らがその後に経験したのは、見えることの感動か、それとも…?
心温まるなかにもクスッと笑ってしまう話題を、『News Locker』『Surrey Live』などの海外メディアが伝えた。
■若年性白内障の男女が夫婦に
イギリス・サリー州のマーズサムに暮らすテリーさんとブレンダさんのスミス夫妻は、今年で結婚55年。17歳で出会って結ばれたが、ともに若年性白内障を患うという共通点があった。
視力はどんどん下がり、夫妻は30代には強い弱視の状態に。ブレンダさんのほうが特に悪く、2人の娘を育て、今は3人の孫と3人のひ孫に恵まれているが、人生は決して楽なことばかりではなかったという。
■レンズ埋め込み術
医学の進歩は近年、眼科においても目覚ましいものがあり、優れたレンズを埋め込む治療法があると知って、ふたりは身を乗り出した。
強度の弱視ゆえ、考えてみたらスミス夫妻は50年ほど互いの顔をまじまじと見たことがない。生きているうちに、愛する人の顔をもう1度愛でてみたいという気持ちもおそらくはあったのだろう。
抜群の視力と自然な見え方が特徴だと説明され、1人あたり1万1,000英ポンド(日本円にして約167万円)もするが、ふたりは自由診療(医療保険適用外)のレンズを選択した。
■夫の顔にショック
今年3月、まずはブレンダさんが手術を受けた。濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の多焦点眼内レンズを埋め込んでもらったのだ。
術後に眼帯を外してテリーさんの顔を見たブレンダさんは、開口一番「わぁ、ショック。あなたって眉毛やムダ毛がボサボサね」とダメ出し。ひげ剃りがやや怠慢だったテリーさんは、きちんと剃ると約束した。
一方、ブレンダさんも自宅の窓ガラスの汚さにびっくり。「まずは家をきれいにしよう」と反省したそうだ。落ち着いた今は、美しい指輪を愛でたり、フラワーアートに興じたりと、物が見える喜びを噛みしめているという。
■テニスボールを追うまでに
その1カ月後、テリーさんも同じ手術を受け、やはり成功した。術後、ブレンダさんを見るやいなや「君、ずいぶん髪を明るい色に染めてたんだな」とチクリ。
照れ隠しもあって、大感激でハグを交わす…とはならなかったが、それ以上に大事なのは、老いていくうえでの安心感。互いの様子や表情がはっきりと見え、変化に気づくことは大切だ。
灰色だと思って着ていた衣類が、じつは緑色だったと知り、驚いたというテリーさん。今はテニスボールを追いかけることが何よりの楽しみだという。人生まだまだこれからというスミス夫妻。何十年ものブランクをどんどん挽回していってほしいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)