新生児取り違えで機能不全家族に育てられた女性 成人し高額の損害賠償を請求
病院での徹底した本人確認作業は絶対に必要。同じミスを繰り返さないよう願いたい。
産院での赤ちゃん取り違え、そして裁判の話題は意外にも多い。この度の話題は、スペインから飛び込んできた。『7News.au』『abc net.au』などの海外メディアが報じている。
■機能不全家族で育った女性
注目を集めている裁判は2002年、スペイン北部ラ・リオハ州のサン・ミジャン・デ・ログローニョにある公立病院で、新生児の取り違えミスが起きたことが発端となっている。
原告の女性は現在19歳。産科で誕生し数日後に退院したが、両親は夫婦仲が悪く、子供は祖母に預けっぱなしの機能不全家族だったという。
■両親の離婚で判明した事実
すさんだ家庭環境のなか不幸な経験を多々させられたという女性が、このほど自治体の保健当局を相手に、損害賠償として日本円で3億9,000万円ほどを求める裁判を起こした。
そのきっかけとなったのは、親夫婦がいよいよ離婚を決意した2017年、子供の養育費の負担について父親が異議を唱え、無理やり受けさせられたDNA検査だった。
■成人するとともに動き出す
両親のどちらとも血がつながっていないという、過酷な事実を突きつけられた女性。当時は15歳と未成年だったためなす術も知らなかったが、成人年齢の18歳になると、女性はさまざまな調査を開始した。
当然ながら疑われたのは、病院の産科での取り違えだった。そのミスさえ生じなければ、本来もっと幸せな幼少期を過ごせたはずだとして、その償いを求めるべく裁判の準備を進めたという。
■5時間差で生まれた赤ちゃんと…
ラ・リオハ地域保健局はこの件を重く受け止めており、メディアの取材には「調査の結果、5時間違いで誕生した女の赤ちゃんと取り違えが起きていたことがわかりました」と回答。2名はともに低体重児で、保育器での観察が続くなかミスが発生したと考えられるという。
また、裁判所が下した決定には「従います」とのこと。同じミスを繰り返さないよう、徹底した本人確認作業を行うようスタッフに対する教育が改めて行われている模様だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)