新型コロナワクチン接種後の女性に月経異常や不正出血 米国で本格的な調査が開始
ワクチン接種後の月経異常。たとえわずかな不正出血でも、女性には大きな不安を与えている。
新型コロナウイルスワクチン接種後の女性に起こることがあるとされる、不正出血や月経不順。
日本の厚生労働省は『新型コロナワクチンQ&A』のなかで、「mRNAワクチンが直接的に不正性器出血(不正出血)や月経不順を起こすことはありません」と明記しているが、海外ではこの夏から大きな話題になっていた。アメリカでは、いよいよ本格的な調査がスタートするという。
■予想された副反応なのか
今から1カ月前、アメリカのメディア『NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)』が、新型コロナウイルスワクチンを接種した女性の月経周期の変化や不正出血に関する記事を発表し、高い関心を集めた。
専門家から「短期間で落ち着くようだが、そうした報告が14万件以上あるようだ。副反応のひとつとして予想されながら、女性たちが怖がって接種を避けることを恐れ、あえて警告されなかった可能性がある」という批判の声があがっているというものだった。
■月経異常の理由は複数
月経の変調は一過性ということもあり、ほとんどの専門家が「やはりワクチンの接種が重要」と論じている一方、大量の不正出血があった、閉経したのにまた出血が、といった書き込みが続き、海外の女性たちの間でその話題はずっとくすぶり続けていた。
そんな中でイェール大学の研究チームが、mRNAワクチンの免疫細胞への作用が、子宮内膜の入れ替わりにも影響を与えているのではないかと論じた。
しかし環境の変化、発熱やだるさといったストレスも月経周期に影響を与えることから、「理由は1つではない」「因果関係を肯定するのは難しい」といった意見が優勢だったようだ。
■米・国立衛生研究所が立ち上がる
だが、そうした不安は若年層でワクチン接種が進まない大きな原因となっている。
ワクチン接種後の月経異常について正しく把握し、因果関係や原因の究明が必要だと考えたアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)は、1億8,400万円の資金を投じ、その調査研究に乗り出したことを先月30日に発表した。
ボストン大学、ハーバード大学医学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学、ミシガン州立大学、オレゴン健康科学大学の5つの医療研究機関が協力するという。
■韓国政府も調査に乗り出す
そして今月1日には、韓国政府の新型コロナウイルス予防接種対応推進団も、同様の調査を開始する旨を発表した。
大統領府がオンラインで設けている『国民請願掲示板』には、不安に悩む女性たちからの「正しい知識がほしい」と訴える投稿が相次ぎ、ファイザー、モデルナ、ヤンセン製のワクチンで月経異常を体験した女性たちの申告が続々と届いている模様だ。
月経については、たとえわずかな不正出血でも女性たちに大きな不安を与えてしまう。納得、安心したうえで接種が受けられる状況になることが何より重要だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)