インフルエンサーが美容整形手術の麻酔で死亡 10万件に1件の悪性高熱症で

悪性高熱症は染色体優性遺伝の骨格筋の疾患。全身麻酔を受けない限り、気づかない人も…。

2021/08/30 07:00

美容整形手術

幼い一人息子を育てながら、美人インフルエンサーとして鳴らしてきたロシアのマリナ・レベデワさん(31)。サンクトペテルブルクの有名な美容整形外科クリニックで鼻の手術を受けようとして、極めて珍しい「悪性高熱症」を発症して死亡した。

イギリスのメディア『Daily Star』『The Sun』などが報じている。


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■麻酔後に体温がどんどん上昇

この悪性高熱症は、吸入麻酔薬による全身麻酔後に患者の体温がどんどん上昇し、筋硬直、頻脈や不整脈、呼吸数の増加、高カリウム血症、筋細胞の崩壊などが起きてくる。患者にはその素因として、常染色体優性遺伝の骨格筋の疾患が認められるという。

医師は患者が悪性高熱症を起こしていると気付いたら、速やかに筋弛緩薬のダントロレンを投与し、全身を冷やし、心停止には心肺蘇生法や各種の薬物投与で対応することが必要だという。

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■10万件に1件あるかないか

悪性高熱症が起きる頻度は、全身麻酔10万件あたり1件ほどと極めて稀で、その事例を実際に経験する医師はじつに少ない。だが症状の特徴や対処法の認知度が高まったことで、発症者の死亡率はかなり減少しているそうだ。

なお、局所麻酔で行えるような美容整形手術でも、患者側が「目が覚めたらすべて終わっている状態がいい」などと希望すると、全身麻酔になることがあるという。

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■医療過誤なのか

施術したクリニックの『Artibeaut』では、マリナさんの身の急変に気づくとただちに救急車を要請。それを待つ間にも、院長をはじめ誰もが懸命に蘇生措置を行っていた。すべてが録画されており、当局がその映像について現在調査を続けている。

もしも今回の件が医療過誤として認められた場合、アレクザンダー・エフレモフ院長には、最大で懲役6年の実刑判決が下る可能性があるという。


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■一般的な術前検査ではわからない

悪性高熱症の素因となる骨格筋の疾患については、残念ながら術前の一般的な検査では把握できない。マリナさんも、各種の健康状態やアレルギーのチェックは全てクリアしていたのだ。

家族が全身麻酔を受けて悪性高熱症を発症していた場合、それは自分にも起きる可能性がある。術前に医師にそれを必ず告げる必要があるという。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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