自爆テロで60人以上死亡のアフガン・カブール空港 難民国外流出の第二ステージへ
国外脱出を求める人々が殺到していたアフガニスタンの首都・カブール空港付近で爆発。60人以上が死亡し、自爆テロと見られている。
■政府軍の士気低下の一背景
米国などが同時多発テロへの報復にアフガン侵攻して以来、投じた戦費は約1兆ドル。約30万の兵力を持つ政府軍が実地訓練、軍事兵器など米軍から手厚く支援されたに拘わらず、その4分の1の兵力のイスラム原理主義集団になぜ、屈したのか。
米の政治専門サイト・ポリティコは、論説記事で「タリバンは信仰のため、政府警察は金(給料)のために戦った」と政府軍の敗因を分析。米軍のプレゼンス自体がアフガン人の存在意義を踏みにじり、土着民族のプライドを目覚めさせた、と解説した。
タリバンがカブールに侵入した際、政府の治安部隊はほぼ無抵抗だったという。ガニ大統領は国民を背に逃亡した。
■私的流用する長年の慣習
NPO法人・イーグル・アフガン復興協会(東京)代表で、日本滞在歴約40年の同国出身、江藤セデカさんは「政府軍は様々な民族が寄り集まった集団。タリバンは信念を共にする一つの部族」と結束力の差を指摘する。
政府高官には外国の援助資金を当てに私的流用する長年の慣習があり、賃金の低い下級役人の士気低下を招いた、という。
江藤さんは「海外の援助資金で子息を留学させる一方、国の飛行機を私的な国外逃亡に使っている」と憤る。タリバンは高官ぐるみの汚職体質に対する国民の反発をテコに「役所や商業区の民間人に徐々に味方を増やしていった」らしい。